新聞クイント2020年1月(お試し版)
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2020年1月10日(金) 第289号2今月のニュース学 会ター発表で、最優秀若手ポスター賞に金岡沙季氏(新潟大学)、優秀賞に3名が選出された。また優秀口演賞は原さやか氏(新潟大学)が受賞した。 1日目の小畑 真氏(弁護士、小畑法律事務所)による特別講演1 「患者・スタッフトラブル予防のポイント」では、歯科医師免許を有する小畑氏ならではの講演が行われた。また、シンポジウム(認定研修会)は、川上智史準備委員長の座長のもと「糖尿病と歯周病における多職種連携」をテーマに、辻 昌宏氏(天使病院)、長澤敏行氏(北海道医療大学)、吉野夕香氏(北海道医療大学病院)が登壇。それぞれの立場から多職種連携に関する取り組みや提言がなされ、会場では積極的な質問や熱心な質疑応答が展開された。 2日目の吉田靖弘氏(北海道大学)による特別講演2「総合歯科が育む医療イノベーション」では、臨床と基礎をしっかりと結び付けた開発研究について、示唆に富んだ講演が行われた。 また、今回は学会顧問の前沢政次氏が参加し、総合歯科が広く浸透することを期待させるものとなった。 2019年11月2日(土)、3日(日)の両日、北海道歯科医師会館(北海道)において、第12回日本総合歯科学会総会・学術大会(井上 哲大会長、 川上智史準備委員長、鳥井康弘理事長)が「『令和』時代の総合歯科を考える」のテーマのもと、学会初となる北海道大学・北海道医療大学の共同開催にて行われ、230名が参集した。 本大会は特別講演2題、シンポジウムおよび口演・ポスター発表の計45題、すべてにおいて活発な討論が行われた。そのうち16題が若手ポス第12回総会・学術大会、札幌にて盛会裏に終了日本総合歯科学会開会式で挨拶を行う理事長の鳥井康弘氏。今月のニュース学 会挨拶を行う理事長の森山啓司氏。ミナー、特別講演、シンポジウム、教育講演などが行われ、非常に多くの聴講者が参集した。 なかでも生涯研修セミナーにおいては、矯正歯科治療における顎口腔機能と評価と題して、友成 博氏(鶴見大学教授)と坂上 馨氏(新潟大学)が研究結果を交えながら示唆に富んだ講演を行った。 また、「過去の難症例・再治療症例から学ぶ未来への戦略的診断・治療」と題した臨床セミナー2においては、米澤大地氏、嘉ノ海龍三氏(ともに兵庫県開業)、菅原準二氏(宮城県開業)が登壇。難症例における、補綴治療と矯正治療の関連性と治療ゴールの設定、早期治療における難症例とその問題点、再治療が必要であったケースの治療のポイントと経過観察など、示唆に富んだ講演と議論が展開され、盛会となった本大会を締めくくった。 なお、次回は2020年10月4日(日)から7日(水)までの4日間、パシフィコ横浜(神奈川県)において、第9回国際矯正歯科会議世界大会が開催される予定である。 「矯正歯科治療~どこから来て、どこへ行くのか」をテーマに日本矯正歯科学会 2019年11月20日(水)から11月22日(金)までの3日間、長崎ブリックホール、長崎新聞文化ホール、長崎県歯科医師会館、長崎県総合福祉センター(すべて長崎)において、第78回日本矯正歯科学会学術大会(吉田教明大会長、森山啓司理事長)が、「矯正歯科治療~どこから来て、どこへ行くのか」をテーマに3,990名の参加者を集め盛大に開催された。 3日間にわたり、生涯研修セミナー、指導者講習会、サテライトセミナー、臨床セミナー、スタッフ&ドクターセ平時からの歯科保健医療の重要性を次世代につなぎたい 集中豪雨や台風など、甚大な被害をもたらした自然災害があいついだ2019年。被災地の避難所などでは歯科医療従事者らの支援活動が行われ、口から全身の健康を守る重要性が発信された。2020年は阪神・淡路大震災から25年を迎える。本欄では、口腔ケアと全身疾患の関係を訴え続けている足立了平氏(神戸常盤大学短期大学部口腔保健学科特命教授)にその思いをうかがう。足立:2020年は、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災から25年という節目の年です。私は、その日を迎えるたびに「どんな災害であっても、せっかく生き延びた命を無駄に亡くしてはいけない。被災者の命を守る努力は災害にかかわる者の最大の使命である」という思いを新たにしています。 この思いは『繋ぐ―災害歯科保健医療対応への執念』(クインテッセンス出版刊)に著していますが、今でこそ常識になった「大規模災害時の口腔保健医療の重要性」は神戸から発信されたものであり、原点だと思っています。当時は口腔ケアと肺炎の関係など知るよしもなく、肺炎予防に口腔ケアが有効であるという米山武義先生(静岡県開業)らの論文が『Lancet』に掲載されたのは震災から4年後の1999年のことでした。 そして2004年5月14日、神戸新聞朝刊に衝撃的な記事が掲載されたのです。災害に関連した内科疾患で高齢者が亡くなった関連死の1/4が肺炎であり、私たちがあの時しっかり口腔ケアを実施していれば災害関連死は少しでも防ぐことができたのではないかと、自責の念にかられました。それ以後、私は平時からの高齢者に対する肺炎予防のための口腔ケアを普及させることが関連死を減らすことにつながると強調するようになりました。 現在では、口腔ケアは術中・術後の合併症や入院日数の軽減にも寄与し、全身の健康との関連性など、歯科医療従事者だけでなく医療・介護関係者にも周知されてきています。医療連携が叫ばれている昨今、口腔ケアを含めた食べる支援が地域のなかで求められます。脳卒中の患者さんを例に挙げるな らば、発症直後はほぼ例外なく急性期病院に入院します。救急救命治療後は回復期病院においてリハビリテーションにつなぎ、そして施設や居宅での療養・生活支援につながっていきます。病院から地域へ患者さんをつなぐ、医療から福祉への連携、食べる支援のためのバトンを普段から皆さんでつなぐ社会や仕組みが必要ではないでしょうか。 最後に、私が大会長を務める第29回日本有病者歯科医療学会総会・学術大会が、2020年2月28日から3月1日の3日間、神戸国際会議場において、「繋ぐー地域へ」をメインテーマに開催されます。また、震災を風化させず次世代につなぐための講演やシンポジウムも予定しています。日本歯科医学会の専門分科会として開催する初めての総会・学術大会となりますので、皆様の多くのご参加をお願い申し上げます。歯科保健の重要性を発信し続ける歯科医師足立了平神戸常盤大学短期大学部口腔保健学科特命教授、ときわ病院歯科口腔外科部長あだち・りょうへい神戸常盤大学短期大学部口腔保健学科特命教授。ときわ病院歯科口腔外科部長。阪神・淡路大震災での被災と支援活動の経験をもとに、歯科保健の重要性を発信し続ける。音波式電動歯ブラシ歯科専用ハイドロソニック プロ◎販売元:東京都台東区上野7-6-9 http://www.yoshida-dental.co.jp ◎輸入元:株式会社クラデンジャパン(スイス クラデン社 日本法人) スイス生まれのイノベーションが日本に上陸辿りついた歯ブラシの理想形SO PROFESSIONAL, SO SIMPLE

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