新聞クイント2020年3月(お試し版)
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2020年3月10日(火) 第291号2今月のニュース社 会 2月9日(日)、JR九州ホール(福岡県)において、第44回北九州歯学研究会発表会(上田秀朗会長)が「トラブル症例から学ぶ歯科臨床―その傾向と対策―」をテーマに、650名を集めて盛大に開催された。まず、開会の辞にて上田会長(以下すべて福岡県開業)が登壇し、昨年6月に逝去された中野 充氏、さらに12月に逝去された下川公一氏に黙禱が捧げられた。 最初のプログラム「中野 充先生追悼講演」は、当初下川氏が担当する予定であったが氏の急逝を受け、松延彰友氏と村上和彦氏が登壇し、中野氏のすぐれた人格や臨床的功績、歯科医師会での活躍などにふれ故人を偲んだ。 続いて「挑戦 Part2」では、中野宏俊氏が父親である中野 充氏と自身の症例を比較しながら、保存治療について語った。松延允資氏は、再生療法を成功へと導く手法について説明した。樋口克彦氏は、前歯部の正中離開をコンポジットレジンで修復した症例を提示し、修復とその後のリカバリーについて述べた。 午後のセッション「トラブル症例から学ぶ歯科臨床―その傾向と対策―」の咬合編で登壇した甲斐康晴氏は、咬合治療の流れについて、歯牙・歯列・咬合と単位を広げて考えることの重要性を説いた。続くペリオ編で登壇した白石和仁氏は、自身の10年以上経過した長期症例を供覧し、なぜ経過不良でトラブルが起きたのかを考察した。最後にインプラント編で登壇した榊 恭範氏は、予後20年を超えるインプラント治療のトラブル症例を提示し、10年後の想定されるトラブルに対応できる治療計画の必要性を強調した。中野 充氏、下川公一氏を偲ぶ、第44回発表会に650名が参集北九州歯学研究会今月のニュース社 会主宰の中田光太郎氏を中心としたEN東京理事ら。故・中野 充氏、下川公一氏の写真の前での集合写真。足に至った。 初日は、2月10日発刊の中田氏の著書『切る 縫う 結ぶ ビジュアルで学ぶ歯周外科手術の原点』(クインテッセンス出版)の出版記念講演として、特に若手歯科医師に向けた他分野から学んだ基礎の重要性、歯科という仕事のおもしろさ、そして歯科医師という職業の楽しさについて熱く語った。 2日目は、発足記念講演会として、岡田素平太氏(東京都開業)が「軟組織の歯槽堤保存術」、甘利佳之氏(東京都開業)が「矯正治療を伴ったインプラント補綴の治療戦略」、安斉昌照氏(神奈川県開業)が「審美歯科治療におけるピンクエステティック―乳頭再建―」、椎名康雅氏(千葉県開業)が「矯正専門医の立場から考察する“包括的歯科治療”について」、跡部明男氏(神奈川県開業)が「Change both organization and tissue」、三橋 晃氏(神奈川県開業)が、「Ni-Tiファイルを用いた効率の良い根管形成」、そして最後に中田氏が「審美のための受動的萌出全歯に対する歯冠長延長術」と題して、それぞれが講演した。若手歯科医師の育成を目標に東京へ進出EN東京発足記念講演会 2月8日(土)、9日(日)の両日、東京医科歯科大学(東京都)において、Enhancement of New dentistry(EN) 東京発足記念講演会が開催された。本会は2008年に関西で発足し、今年で12年目を迎える。主宰の中田光太郎氏(京都府開業)を中心とした講師陣が開催しているペリオドンタルプラスティックサージェリーマイクロアドバンスコースの卒業生を中心として“エビデンスベース”をモットーに勉強会が行われていたが、全国から参加希望が多数あったため、東京での発日本の歯科のプレゼンスを世界に示すことができる絶好の機会 1964年以来56年ぶり2回目となる東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京2020大会)が、きたる7月下旬から9月上旬にわたり約2か月間開催される。本欄では、同大会医療アドバイザーを務める近藤尚知氏(岩手医科大学歯学部教授)に、歯科に求められる対応やその取り組みについてうかがった。近藤:私は約20年にわたって日本オリンピック委員会の医学サポート部門員を務めてきました。2016年8月に行われたリオデジャネイロオリンピック大会では実際に視察に行き、大会期間中の実際の医務体制について国際オリンピック委員会(IOC)委員の歯科担当であるDr. Tony CloughとDr. Paul Piccininniから説明を受けました。両氏は2017年11月に開催された日本歯科医師会主催の講演会およびシンポジウム(東京都歯科医師会、日本スポーツ歯科医学会共催)の講師として招聘されました。その後2019年6月、10月にも来日してくださり、オリンピック大会における歯科医師の役割についての情報提供やディスカッションをとおして私たちに大会期間中の対応について検討する機会を与えてくださいました。 東京2020大会の医務体制については、同大会の組織委員会副会長の河野一郎先生(元筑波大学教授)、メディカルディレクターの赤間高雄先生(早稲田大学教授)を中心として鋭意準備中であり、歯科は東京都歯科医師会会員、関東圏の歯学部・歯科大学の先生方と歯科衛生士の方々を中心に協力していただくことになっています。 IOCからの要望として、ソフト面においては世界各国の代表選手が滞在する総合選手村に開設されるポリクリニックの歯科診療施設には、外国語のコミュニケーション能力を有し、歯科の専門性を理解している経験豊富な歯科医療従事者の参加が挙げられています。ハード面においては、マイクロスコープなどを用いた精密歯科治療、One day treatmentが可能なCAD/CAMシステム、口腔内スキャナーなどの最新の歯科医療技術によって、選手が競技に即座に復帰できるようなシステムの整備が挙げられています。 その中でも特に大会期間中のニーズが多いと想定されるマウスガードに関しては、適合の良いものを大量に製作できる体制づくりが挙げられています。2016年のリオデジャネイロ大会の時には、約3週間の大会期間中にマウスガードを約450個製作していたようで、東京2020大会ではそれ以上の数を製作してほしいと要望されています。 ご協力いただく先生方には、東京2020大会でぜひとも日本の歯科医療のレベルの高さをアピールしていただきたいと思っていますし、私は日本の歯科医療のプレゼンスを世界に示すことができる絶好の機会になると考えています。 今後は、日本歯科医師会、東京都歯科医師会、大学歯学部と引き続き連携しながら、人材を配置するための研修会など準備していく予定です。東京2020大会の歯科医療アドバイザー近藤尚知岩手医科大学歯学部補綴・インプラント学講座教授こんどう・ひさとも1993年、東京医科歯科大学歯学部卒業。1997年、同大学大学院医歯学総合研究科終了(歯学博士)。1999年、ハーバード大学マサチューセッツ総合病院研究員。2012年、岩手医科大学補綴・インプラント学講座教授。2017年より東京2020大会組織委員会アドバイザー。クイントの“青本”予約受付中!!★令和2年4月大幅改定のポイントと留意点★ここが変わった! 新旧点数早見表★正しいカルテ作成等を臨床現場に即した350症例がサポート!★全症例に請求上の注意点・ワンポイントアドバイスを記載歯科保険請求2020●お茶の水保険診療研究会:編/東京医科歯科大学歯科同窓会社会医療部:監修●約900頁 ●A4判 ●定価本体:9,000円(税別)令和の診療報酬大改定も“青本”が万全フォロー!2018年版4月上旬発売予定!!予約受付中!!2020年版4月上旬発売予定!!予約受付中!!2020年版4月上旬発売予定!!予約受付中!!令和2年度大改定のポイントを巻頭カラー特集で徹底解説!44444444444444月上旬発売予定月上旬発売予定月上旬発売予定月上旬発売予定令和2年度大改定巻お問い合わせ、ご予約は03-5842-2272(営業課)まで

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