新聞クイント2020年4月(お試し版)
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2020年4月10日(金) 第292号2今月のニュース政 治 3月10日(火)、歯科医師会館において、日本歯科医師会(以下、日歯、堀 憲郎会長)による都道府県歯科医師会(以下、都道府県歯)社会保険担当理事連絡協議会(WEB会議)が開催された。今回は新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、WEB会議にて都道府県歯に配信された。 堀会長は挨拶の中で、歯科用金銀パラジウム合金の価格高騰に対する現状認識の対応について資料をもとに説明。2019年10月以降継続している価格高騰への対応として、現行の6か月毎の「価格見直し」や、パラジウムに代わる白金や14Kゴールドを使用した「代替材料」の開発の加速を求める要望を、日本歯科材料工業協同組合へ行っていることを報告した。 引き続き、髙田淳子氏(厚労省保険局医療課課長補佐)と林 正純氏(日歯常務理事)より、令和2年度診療報酬改定の概要およびポイント(重症化予防の取組の推進、重点的な対応への適切な評価、口腔疾患の重症化予防、口腔機能低下への対応の充実など)について詳細な説明が行われた。 その後、宇佐美伸治氏(日歯常務理事)より、2021年3月より医療機関の窓口において開始される「オンライン資格確認」について、概要および導入費用などの説明が行われた。本年6月より医療機関による手挙げ方式で行われ、導入する医療機関には国から補助金が交付される(診療所負担は1/4)。宇佐美氏は歯科医療機関の約8割がオンライン請求を実施していない現状にふれ、「ぜひ補助金を活用してオンライン資格確認の導入をしていただきたい」と述べた。社会保険担当理事連絡協議会、WEB会議にて配信日本歯科医師会今月のニュース政 治マスク着用で記者会見に臨む堀 憲郎氏。WEB会議に臨む日歯関係者ら。けで都道府県歯会長宛に文書を発出したことを報告。日頃のスタンダードプリコーションの徹底に加え、新型コロナウイルスの感染が疑われる患者さんが来院ないし来院の問い合わせがあった際は、直ちに診療するのではなく最寄りの保健所との連携を徹底することを求めた。また、今後の感染の拡大状況により、新たな対応も想定されるため、「行政の窓口となる厚労省医政局歯科保健課との情報共有の緊密な連携を求めていく」と述べた。 マスクや消毒用アルコールの安定供給については、日本歯科商工協会に10日付けで正式に文書で要請していることを報告し、「歯科にかかわらず医療現場全体の問題として必要な対応をしていく」とした。日歯では2月13日に新型コロナウイルス感染症対策本部を設置し、ホームページなどで最新情報を発信している。 なお、新型コロナウイルスの感染拡大にともない、政府はイベント自粛や学校の臨時休校を求めていたが、3月10日にはイベントの自粛要請期間を10日間程度延長することを表明した。新型コロナウイルス感染症の対応、「厚労省と連携」日歯定例会見 2月27日(木)、歯科医師会館において、日本歯科医師会(以下、日歯、堀 憲郎会長)による定例記者会見が開催された。堀会長をはじめとする日歯執行部は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、マスク着用で記者会見に臨むという異例の事態となった。 冒頭、堀会長は25日に政府から発表された新型コロナウイルス感染症対策の基本方針をふまえ、「被害を最小限に抑えるための重要な時期」との認識を示した。そのうえで、歯科医療機関における対応については、26日付人生100年時代「臨床力」を構築し、会員が誇りをもてるような学会を目指したい 1979年に「国際ナソロジー学会アジア部会」として設立後、法人化を経て会員数がまもなく9,000名に達する国内最大規模の(特非)日本顎咬合学会。第15代理事長の黒岩昭弘 氏(松本歯科大学教授)は、歯科医療の果たす役割に注目が集まるなか、会務運営をとおして「顎咬合学」をどのように周知させていくのか——。黒岩:上田秀朗前理事長のもとで発展した「真・顎咬合学」は、歯科の領域を越えさまざまな健康を支えるための科学として発展してきています。また2018年から竹内孝仁先生、南 清和先生らによって立ち上げられた「自立支援歯科学」は、「口から食べることの大切さ」について歯科・医科そして介護の方々が考察を加え、ともに連携しながら諸問題を解決する時代が到来したことを実感しています。 人は単に長生きすることが目的ではなく、楽しく健康に長生きすることを願っていると思います。人々ができるだけ薬に頼らず、生まれもった顎口腔系の機能を使って咀嚼し、語らい、笑うことを支えるのが、真の顎咬合学であると考えています。少子高齢化が進展するなか、先進国の中でも特異な人口構造の変化に対して、本学会も国民が求めるニーズを探りながら、「咬み合わせ」に特化して集った私たちが国民の健康を支えてく必要があります。 そこで私は、新たにテーマとして「人生100年時代-臨床力を磨く」を掲げました。本会の指導医、国内外の先生方が咬合を中心としたさまざまな分野(補綴学・歯内療法学・歯周学・矯正学・口腔外科学・小児歯科学・内科学・介護学・人間学など)の知識や技術を携え、ともに競い、刺激を受けながら咬合のエキスパートとして、どの分野からもどの年齢の患者さんにも長期にわたって良好で安定した結果をもたらす治せる力としての「臨床力」を構築していただきたいと思います。また、次世代を支える若手に魅力ある夢を提示し、実践するための教育研修体制も備えています。特に若い方には患者さんから喜ばれる経験をしていただきたいですし、指導医や認定医の皆様に対しても咬合フォーラムをはじめ認定医教育講演、指導医研修会など万全な体制を整えています。最終的には本学会会員であることに誇りをもてるような学会を目指していきます。 そして本学会には、もう一つの新しい潮流として、広告開示可能な専門医制度の認証があります。日本歯科専門医機構が認定した専門医制度の基本的理念と本学会が目指す専門医制度とを重ね合わせると、「本学会員が歯科医師の行動原則に基づき、咬合を中心とした専門医としての質を保証・維持し、それが国民に認知・信頼され、受診先の選択の良い指標となり、中長期的にも歯科医療の向上の指標となり、これが国際的にも認知される制度」となります。これからの学会の方向性や認定医・指導医との関係など多くの議論を尽くし、本学会にふさわしい専門医を樹立したいと思っています。第15代理事長に就任した日本顎咬合学会の「顔」黒岩昭弘(特非)日本顎咬合学会理事長、松本歯科大学教授くろいわ・あきひろ2005年、松本歯科大学歯科補綴学講座教授。2015年、明海大学客員教授。2016年、松本歯科大学歯科理工学講座教授。2017年、同大学硬組織疾患制御再建学講座教授。2018年、同大学歯科補綴学講座主任教授。2019年6月、日本顎咬合学会理事長。

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