新聞クイント2020年5月(お試し版)
2/3

2020年5月10日(日) 第293号2今月のニュース政 治 3月26日(木)、歯科医師会館において、日本歯科医師会(以下、日歯、堀 憲郎会長)による定例記者会見が開催された。 冒頭の挨拶で堀会長は、さる24日(火)に行われた新型コロナウイルス対応に関する医療関係団体および厚生労働省による協議会(非公開)において、診療所の立場として歯科医療・歯科口腔保健サービスの提供を控える介護施設が増えている状況を述べたうえで、長期化した場合には誤嚥性肺炎等の増加が懸念されることを進言した旨などを報告した。 引き続き柳川忠廣副会長より、「摂食嚥下障害診療における耳鼻咽喉科と歯科との連携」に関する提言が取りまとめられたことが報告され、高齢化が進むなか今後さらなる増加が予想される摂食嚥下障害について、歯科と耳鼻咽喉科が連携して診療を行う方針が示された。 摂食嚥下障害患者の生活においては安全に食事ができる環境を整えていくことがきわめて重要であるため、経口摂取の可否の判断や安全な食形態の選択、代替栄養法の適応判断、嚥下訓練や外科的治療の手技選択といった一連の対応を、適切かつ円滑に行うことを目的としている。 本提言は、2017年からの3年間にわたり日本耳鼻咽喉科学会と日歯が話し合いを重ねてきた末の実現とあって、堀会長も「非常に感慨をもって受け止めている」と高く評価した。 健康寿命の延伸という目標に向け、これからの医療の課題となっている医科・歯科連携の大きな一歩となることに期待したい。耳鼻咽喉科との連携実現を高く評価日歯定例会見今月のニュース社 会デモンストレーションの様子。使用する歯科医療器具など、AIとカメラによって認識された情報がモニタ(写真左)に表示された。提言内容について説明する柳川忠廣副会長。との統合を行い、2025年の大阪万博までに歯科診療ビッグデータ構築基盤の整備を目指す。将来的には「歯科診療認識AI チェアユニット」を普及させ、世界中の歯科診療状況をモニタリングしたビッグデータを集積・解析することにより、診療の効率化と医療安全向上の両立を目指すとのこと。 会場では、新型コロナウイルス感染拡大の影響をふまえ、主催者によるビデオメッセージ「2025年の大阪万博までには実用化されたものを皆さんに示したい」(村上氏)、「今回の共同研究の成果物が新たな診療と教育のプラットフォームとしてシナジー効果を生み出し、今後の歯科医療の発展に大きく寄与することを願っている」(森田氏)、「『歯科診療認識AIチェアユニット』を構築し、診療のさらなる効率化とアシスト機能の充実、歯科教育への貢献をしたい」(塚本氏)と、研究内容報告が行われた。 その後、別室において実際の歯科治療をイメージしたデモンストレーションが行われ、報道関係者の関心を集めていた。モリタと阪大歯学部、共同研究開発をスタート 3月26日(木)、大阪大学歯学部附属病院(大阪府)において、大阪大学歯学部附属病院(村上伸也病院長)、株式会社モリタ(森田晴夫代表取締役社長)、株式会社モリタ製作所(塚本耕二代表取締役社長)による共同記者会見が開催された。 本会見は、「歯科診療認識AIチェアユニット」の共同研究開発を本年4月より開始するため開催されたもの。本プロジェクトは、大阪大学で開発したAIとモリタ製作所が開発したIoTセンシング付き歯科用チェアユニット足裏から全身の噛み合わせを整える「裸足の文化」を伝えたい 2003年に相撲界からの引退を発表して17年。平成の大横綱とよばれた第65代横綱・貴乃花光司氏が、本年4月に神奈川歯科大学の特任教授に就任した。相撲界のレジェンドがいま、学生に伝えたい想いとは――。本欄では、現役時代に経験した噛み合わせの重要性や春から始まる授業など、業界初の独占インタビューを掲載する。貴乃花:現役時代は、歯のトラブルでとても苦労しました。力士同士がぶつかる時の衝撃は約1トン前後だといわれています。そのため、歯ぐきが腫れ上がって痛みが出ることもありました。その頃に出会ったのが、全身の健康を歯と口からサポートしてくださった歯科医師の先生です。先生に歯科治療をしていただくなかで、噛み合わせの重要性に気がつきました。噛み合わせを整えることで体のバランスも安定してきて、精神の軸、つまり心のバランスが取りやすくなったのです。体のバランスを整えるためには、下半身、特に足の裏を鍛えることも大切で、土踏まずを地面につけた状態で噛み合わせると心がすっと落ち着いてきます。こうした関係は目に見えない部分ですが、神奈川歯科大学の川上正人准教授と共同でスポーツ歯科医学の分野から論文発表の準備を進めています。 力士にとって、引退後の体を一般的な体型に戻していくことは、実は現役の体型を維持することよりも大変です。体重だけでなく筋力が落ちてくると、ちょっとした湿度や気温の変化でも身体が痛みます。そのような身体のトラブルを軽減してくれる動作が、現役を引退してからも毎日かかさずやっている相撲の基本動作「四股」です。 四股は簡単な動きで、体のバランスを整えることができます。たんに足を上げるだけが四股ではなく、両足を地面に付けたまま腰を下ろすことが大事で、正しく行えば1回上げるのが精一杯なほど足が震えてきます。普段から鍛えている方でも、「こんなに使っていない筋肉があったのか」と驚かれるほどです。ですから四股は体幹を鍛える最善のトレーニングといってもよいでしょう。 新型コロナウイルスの影響によって屋内で過ごす機会が増えていますが、狭い場所でもできるのが四股の特長です。必要な道具は自分の体重だけなので負担が少なく、体を動かすことはストレス解消にもなります。普段の生活の中に四股の動きを取り入れていくことで、歯のように下半身と上半身の“噛み合わせ”を整えていただきたいと思います。授業では、まずは四股のトレーニング(シコアサイズ)の実技を行う予定です。 下半身のトレーニングは、私たちが本来もっている体重(力)を活用して、健康に長生きをするためにとても大切です。そのうえで、相撲道で学んできた日本の作法や礼節などの伝統文化を国内外に発信・普及していきたいと思いますし、私が理事を務める貴乃花道場もこの信念の下に活動しています。 今後は、多くの人に「裸足で鍛える文化」を伝えていきたいですね。神奈川歯科大学特任教授に就任した貴乃花光司第65代横綱(一社)貴乃花道場理事たかのはな・こうじ第65代横綱。1992年、史上最年少で最多勝力士賞受賞など活躍。2003年に引退後、貴乃花部屋の師匠を務める傍ら(財)日本相撲協会理事などを歴任。現在は(一社)貴乃花道場の理事を務める。2020年4月より神奈川歯科大学特任教授。クインテッセンス出版 クインテッセンス出版 雑誌は雑誌は年年・・・・・・・・間購読間購読がおすすめ!!がおすすめ!!年間購読のお申し込み・お問い合わせは、オンラインショップ年間購読のお申し込み・お問い合わせは、オンラインショップ「歯学書.com」「歯学書.com」またはまたは03-5842-227203-5842-2272(営業課)(営業課)、、お出入りの歯科材料店、書店お出入りの歯科材料店、書店へご注文くださいへご注文ください日本欠損主体の時代から“口腔を生涯守る時代”の欠損主体の時代から“口腔を生涯守る時代”の歯科臨床総合誌歯科臨床総合誌歯科医師と歯科技工士がともに読む補綴専門誌歯科医師と歯科技工士がともに読む補綴専門誌見える。つかめる。明日の臨床が楽しくなる!見える。つかめる。明日の臨床が楽しくなる!歯科衛生士のためのビジュアルマガジン歯科衛生士のためのビジュアルマガジンインプラントを臨床に生かすための専門誌インプラントを臨床に生かすための専門誌患者さんと歯科医院の笑顔をつなぐ患者さんと歯科医院の笑顔をつなぐ歯科情報誌歯科情報誌

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る