新聞クイント2020年9月(お試し版)
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2020年9月10日(木) 第297号2今月のニュース政 治 7月22日(水)、衆議院第二議員会館(東京都)において、国民皆歯科健診を実現する会(山田 宏事務局長、古屋圭司会長)による第2回勉強会が開催された。本会は、予防医療の観点から「国民皆歯科健診」を実現するための議員勉強会として発足。事務局長には、山田 宏氏(自民党参議院議員)が就任している。 会場では、講師を務めた小松本悟氏(医師、足利赤十字病院院長)による「今後求められる医科歯科連携に向けて」と題する講演が行われた。小松本氏はリハビリテーション科に歯科を設置し、看護師による口腔アセスメントを全入院患者に実施していることや、歯科が介入したことによって、脳卒中患者の肺炎発症率が減少しているデータを供覧。また、退院ならびに転院後も歯科受診が継続できるシステム(登録医)を構築し、地域の歯科医師会と連携していることも紹介した。 さらに、病院経営における医科歯科連携のメリットについても言及。脳卒中で入院した患者にリハビリテーション歯科が介入することによって誤嚥性肺炎の発生率を減少させ、平均在院日数も30日短縮させるなど、医業収益の増収に寄与できることをデータで披露。医科歯科連携が病院経営の視点からも有用であることを強調し、参加者の注目を集めた。 講演後は、参加した国会議員との意見交換が行われ、周術期口腔機能管理をはじめとする診療報酬上のさらなる評価だけでなく、歯科が口腔機能を支えることによる患者満足度の向上(付加価値)をどのように評価していくかなど、積極的な意見が出された。講師に足利赤十字病院院長の小松本悟氏を招聘国民皆歯科健診を実現する会今月のニュース政 治5月の歯科医業経営状況、22.1%減少でさらに厳しく日歯定例会見 7月30日(木)、歯科医師会館において、日本歯科医師会(以下、日歯、堀 憲郎会長)による定例記者会見が開催された。 会見の中で堀会長は、新型コロナウイルス感染症対策における日歯会員を対象に行った「歯科医業経営状況等アンケート調査報告書」の結果について報告。5月診療分の結果(対前年度比)が、総件数で22.1%の減少、総実日数では20.8%減少、総点数では14.0%の減少となり、4月よりもさらにマイナスが大きく厳しい経営状況であることに危機感を募らせた。歯科医療機関の支援については、第二次補正予算の措置も含めた迅速な実行と円滑な対応のほか、今後の歯科医療提供体制の確保のための継続した支援を求めていくとした。 引き続き、柳川忠廣副会長より令和2年7月豪雨災害対策関係報告がなされた。支援物資は、熊本県歯、福岡県歯からの要請(歯ブラシ、義歯安定剤、義歯洗浄剤など)について日本歯科商工協会を通じて対応(熊本県歯からの追加要請について継続対応中)。避難所の歯科保健活動については、熊本県歯(歯科医師延べ60名、歯科衛生士延べ30名)が延べ34ヶ所の避難所に出動(日歯統一版アセスメント票を使用)している。以下に会員被害状況を示す。 静岡県歯(一部損壊4件)/山口県歯(一部損壊1件)/福岡県歯(全壊1件、一部損壊5件、床上浸水7件、床下浸水2件、機械室浸水2件)/長崎県歯(一部損壊3件)/大分県歯(一部損壊5件)/熊本県歯(床上浸水14件、機械室浸水14件)/宮崎県歯(一部損壊1件)/鹿児島県歯(一部損壊4件)。地域も含めた医科歯科連携をさらに推進・普及させたい 超高齢社会の日本において医科歯科連携の重要性が提唱されて久しい。「骨太の方針2020」にも明記され、国会議員の勉強会でもその重要性が注目されるほどだ。本欄では、医科歯科連携のロールモデルともいえる足利赤十字病院(小松本悟院長)の歯科医師・寺中 智氏(リハビリテーション科口腔治療室長)にお話をうかがった。寺中:足利赤十字病院(以下、当院)は病床数540の栃木県南西部にある地域の基幹病院です。当院は、関東では唯一リハビリテーション科に常勤の歯科医師がいることが主な特徴といえます。2011年から現地に全面移転し、尾﨑研一郎先生(当院リハ科口腔ケアリーダー)を中心に医科歯科連携の基礎をつくっていただき、当科に口腔治療室が新設されてからは連携のスピードはさらに増していきました。 その1つに、病院幹部をはじめ歯科に理解のある医師や看護師の存在が大きいです。口腔ケアによって誤嚥性肺炎の発症リスクが低下するということは、最近でこそ当たり前になりつつあります。また経管栄養だけでなく経口摂取によって十分な栄養が確保でき、早期退院につながることで病院経営にも貢献する一連の流れがデータとして見えてきたことや、昨今では歯科と全身の健康の関係性が周知されてきたことで、私が入職した2013年と比べても、かかりつけ歯科医との連携も格段に取りやすくなってきています。まさに時代の変化を感じています。 当院のように常勤歯科医師を雇用する病院は少ないのが現実問題としてありますが、不採算部門と評される部分を付加価値としてどのように“見える化”するかが大切です。歯科における保険診療の収入だけでは評価されにくいので、副次的効果として術後の合併症の軽減や早期退院に病床稼働率の向上などで、病院側のコスト削減効果をアピールすることが求められます。 これらを実現させるためには、医科歯科連携が鍵になります。私たち歯科がすべての入院患者さんに対して口腔ケアを実施するわけではなく看護師さんが中心となりますので、看護師さんがいかに患者さんの口腔へ意識や関心を向けていただけるかが、大事な視点といえます。当院では毎年行っている新人研修の開催時や看護師の勉強会に歯科衛生士が出向き、歯科に関する啓発活動を行うとともに、口腔ケアチームをシステム化したことでさらに認識が高まっています。 現在の総合病院の歯科は口腔外科が多くありますが、さらに摂食嚥下リハビリテーションを含めた総合的に口腔を管理する歯科が必要ではないかと思います。急性期病院では、誤嚥性肺炎予防のための口腔ケアの他に、経口摂取を段階的に進めていくための義歯修理など補綴のニーズが意外にも多いので、患者さんの医学的見地だけでなく社会的・心理的背景にも配慮したリハビリテーション的なアプローチを進めていくことで、当院はもとより地域を含めた医科歯科連携をさらに推進・普及させたいと考えています。病院歯科で活躍する歯科医師寺中 智足利赤十字病院リハビリテーション科口腔治療室長てらなか・さとし2003年、神奈川歯科大学卒業。2007年、東京医科歯科大学大学院修了(歯学博士)。2009年、同大学高齢者歯科学分野特任助教。2010年、同大学歯学部附属病院スペシャルケア外来・摂食リハビリテーション外来医員。2013年、足利赤十字病院リハビリテーション科。現在に至る。開会で挨拶を述べる古屋圭司氏。アンケート調査結果について説明する堀 憲郎氏(写真左)。医療介護の現場で役立つ! パッククッキング [著]佐藤真由美災害時も!災害時も!ポリ袋とお湯があれば簡単に調理ができる「パッククッキング」のレシピ集!管理栄養士である著者が簡単にできるレシピや料理のワンポイントアドバイスを紹介!掲載メニューは全23品!Step 1切るStep 2混ぜるStep 3湯煎するStep 4盛りつけるおうち時間を有効に!期間限定で無料公開中!!おうち時間を有効に!期間限定で無料公開中!!(なお予告なく公開を終了させていただく場合がございます。あらかじめご了承ください)オクラと塩麹漬け鶏胸肉の胡麻ポン酢和えオ塩塩麹麹漬けけけ鶏胡胡麻麻ポンンン酢和和ええ焼きそばオクララと塩焼焼ききそそ夏野菜カレー夏野野菜菜カカレたらのクリーム煮ららのののクリリ鶏肉入りひじきごはん入りりりひじじじき4ステップで簡単!高齢者や料理の苦手な方でも作れるレシピ234ステップで簡単!高齢者や料理の苦手な方でも作れるレシピ23●佐藤真由美:著 ●56頁 ●A5判横型 ●定価本体:2,000円(税別)無料公開ページはこちら

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