新聞クイント2020年12月(お試し版)
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2020年12月10日(木) 第300号2今月のニュース社 会 10月21日(水)、「~新型コロナウイルス感染症と歯科医療~第11回歯科プレスオンラインセミナー」(一般社団法人日本私立歯科大学協会主催、三浦廣行会長)が開催された。本セミナーは、マスメディアを対象に2010年より開催されてきた。今回は、新型コロナウイルスの感染症予防に対して、小林隆太郎氏(日本歯科大学附属病院口腔外科教授)と槇 宏太郎氏(日本私立歯科大学協会附属病院感染対策協議会議長、昭和大学歯学部長)が講師として招聘された。 会場では、三浦廣行会長(岩手医科大学副学長・歯学部長)による開会の挨拶の後、羽村 章専務理事(日本歯科大学生命歯学部教授)より私立歯科大学・歯学部の概要のほか、歯科に関する第5回意識調査の結果も紹介された。 引き続き、小林氏より「ウイルスに対抗する歯科の重要性」と題する講演が行われた。歯科は、新型コロナウイルス感染症に対して、「出口戦略」ではなく新たな歯科医療環境への「入口戦略」ととらえて取り組んでいく姿勢を示すとともに、新型コロナウイルス感染症の特徴やメカニズムについて資料をもとに解説。また、歯科診療で感染を発生させないための感染対策の徹底や3密(密集・密接・密閉)の回避、口腔健康管理の大切さを強調した。 また、槇氏の「私立歯科大学附属病院・歯学部における感染対策の現状」と題する講演では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大する直前に加盟校に対して行ったアンケート調査をもとに、私立歯科大学・歯学部の平常時における感染対策の現状が紹介された。新型コロナウイルスの最新情報について説明する小林隆太郎氏。今月のニュース社 会大阪大学准教授・野原幹司氏による特別講演が盛会S.O.N.Y-MED(福岡高齢者医療研究会) 10月22日(木)、S.O.N.Y-MED(福岡高齢者医療研究会、中尾 祐代表)によるオンラインセミナーが開催され、歯科医師や歯科衛生士、看護師など45名が参加した。今回は外部講師として、野原幹司氏(大阪大学大学院歯学研究科高次脳口腔機能学講座顎口腔機能治療学教室准教授)による特別講演「嚥下リハから見た口腔機能低下症」が行われた。 開会後、野原氏は疾病構造の変化における歯科医療の変遷や現状にふれるとともに、う蝕や歯周病といった感染症の予防や疾患治療への対応(キュア)から、超高齢時代における高齢者の慢性疾患への対応(ケア)について、在宅医療で求められている歯科の重要性を強調した。 また摂食嚥下リハビリテーションの領域における多数の症例を供覧。その中で嚥下障害については病態にアプローチして訓練(リハ)するのではなく、全身疾患や服薬状況などを把握したうえで障害となっている原因を診断する必要性を説いた。さらに、2018年度診療報酬改定で保険収載された口腔機能低下症についても言及し、原因疾患の有無による嚥下障害の診断・対応など、嚥下内視鏡検査や嚥下造影検査の動画を交えながらわかりやすく解説し、聴講者の関心を集めた。 講演後には聴講者との質疑応答が行われ、聴講者の疑問に対して野原氏はていねいにアドバイスしていた。最後に、超高齢時代における新しい歯科医療「歯科医療3.0」が求められているとし、医療の中心で多職種とともに患者さんに寄り添える歯科医療従事者が増えることに期待を寄せた。S.O.N.Y-MEDでは、今後も外部講師によるセミナーを予定しているとのこと。第11回歯科プレスオンラインセミナーが開催される(一社)日本私立歯科大学協会政治のプロとして歯科の諸問題を解決し、必ず結果を出したい 日本歯科医師連盟(以下、日歯連盟)の臨時評議員会において、次期参議院議員比例代表選挙の組織代表候補者として山田 宏氏(参議院議員)が正式に決定した。歯科医療政策を具現化するために「歯科医師を国会議員に」を中心に掲げて政治活動を展開してきた日歯連盟だが、歯科医師以外の組織代表は今回初となる。本欄では、歯科医師ではない山田氏が歯科の重要性を発信し続ける、その想いをうかがった。山田:私が歯科に関心をもつようになった大きな理由は、1999年から3期務めた杉並区長時代に取り組んだ財政再建で口腔の健康が全身の健康につながるという経験をしたからです。 当時、杉並区歯科医師会長だった高橋英登先生(現日歯連盟会長)からいただいた資料の中に、香川県や特定の健康保険組合の調査データがあり、年1回歯科健診をしている高齢者とそうでない高齢者の医療費は10~15万円ほど差があるということが報告されていました。私は定期的な歯科健診が高齢者の疾病予防や介護予防など医療費削減に寄与するのではないかと思い、成人歯科健診事業に力を入れたのです。対策として歯のクリーニング券と歯科健診をセットにしたところ、当時6%だった受診率を15%まで上昇させることができました。また、区内の一部の小学校に歯磨き奨励用の洗面台を設置して、地域の学校歯科医と連携しながら歯磨き励行を行ったところ、インフルエンザの罹患率を大幅に減少させることができました。 私は健康のまま天寿を全うするような国づくりを目指す目標のなかで、口の中から健康づくりを考え、健康政策の柱として歯科の重要性を発信していたところ、2016年の参議院選挙で日歯連盟に支援していただきました。27歳から政治の世界に入り、首長や国会議員を経験してきて政策実現のプロセスや方法は熟知しています。私は歯科医師ではありませんが、「政治のプロとして歯科界の諸問題の突破口を拓き、結果を出す」と主張し、自民党内に「歯科口腔医療勉強会」をつくり、歯科の重要性を理解していただける国会議員を増やす取り組みを続けてきました。その結果の1つとして、いわゆる「骨太の方針」に2017年から4年連続で歯科の項目が明記され、予算化にもつながっていることは周知のとおりです。 予防医療の重要性が叫ばれて久しいなか、歯科は“疾病医”でなく“健康医”として日本の健康政策の中心でその役割を担うことができると確信しています。引き続き、骨太の方針にも記載されている「生涯を通じた歯科健診の充実」を推進するために「国民皆歯科健診」の法制化に取り組み、また診療報酬上の再評価や医科歯科連携を推進するためのシステム化など、歯科医療政策の実現のために日歯連盟としっかり連携しながら課題解決に取り組んでいきたいと思います。 今回、私のこれまで取り組んできた経験と実績が評議員に評価されたと理解しています。政治のプロとして歯科の諸問題を解決し、必ず国政の場で結果を出したいと思います。次期参院選の歯科界組織代表候補者山田 宏参議院議員やまだ・ひろし1958年1月8日、東京都生まれ。自由民主党参議院議員。歯科口腔医療勉強会座長。元衆議院議員(2期)。前杉並区長(3期)。京都大学法学部卒業。松下政経塾第2期生。お問い合わせ、ご購入は03-5842-2272(営業課)または「歯学書.com」まで!お問い合わせ、ご購入は03-5842-2272(営業課)または「歯学書.com」まで!●224頁 ●A6判 ●定価本体:3,500円(税別)多職種連携に必要な共通言語、あなたは理解できていますか?多職種連携に必要な共通言語、あなたは理解できていますか?[監 著]一戸達也 石垣佳希 弘中祥司豪華執筆陣がわかりやすく解説!安藤有里子/石井良昌/石垣佳希/伊藤孝訓/一戸達也/岩渕博史/小笠原健文/枝広あや子/片倉 朗/嘉手納未季/上條英之/菊谷 武/熊谷賢一/佐藤裕二/澁井武夫/荘司洋文/杉原直樹/田中 彰/鳥山佳則/内藤克美/永尾 康/野村武史/長谷川篤司/濱田良樹/平田創一郎/平野浩彦/弘中祥司/藤井一維/船津敬弘/マイヤース三恵/丸岡靖史/宮田 勝/渡辺 久/渡邊 裕  (50音順、敬称略)

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