新聞クイント2015年4月
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2015年4月10日(金) 第232号9クインテッセンス出版)4)に執筆させていただきましたが、歯肉縁下プラーク(疑似プラーク)の除去に対してもっとも有効な清掃アイテムは、フロスという結果でした。術者によるフロスでは、ほぼ100%に近い歯肉縁下プラーク除去率でしたが、患者さんが使用した場合は、約40%という結果でした(図3、4)。 つまり、プロフェッショナルケアでフロスを使用すれば、上部構造を外さなくとも歯肉縁下のプラークコントロールはできるのではないかという結果が、わずか2症例ではありますが、ヒトの口腔内の検証から得られました。ただし、患者さんご自身で使っていただくホームケアのアイテムとしては、フロスは難易度が高いということもこの結果からわかりました。プロフェッショナルケアでのフロス活用法とホームケア横谷:歯科衛生士にとって清掃アイテムの機能はもちろん大切ですが、操作性も非常に重要です。たとえば、箱入りの特殊フロスでは1本取るために時間がかかったり、多く取り過ぎてしまう場合も多いので、必要分を引き出して使用する巻き取り式タイプの「バトラー イージースレッドフロス」はスタッフの間でもたいへん好評です(図5)。 機能については、歯間部のような狭い隙間へ挿入しやすいスレッド部が付与されていることで作業効率も上がりますので、使い勝手が良いですね。加藤:「バトラー イージースレッドフロス」のフロス部は、特殊ナイロンで使用中にフロスが膨らみ歯間部やインプラント装着部にフィットするため、より効果的にプラークを除去することができます(図6)。大月:鈴木先生のケースレポートでもありますように、ご自身でフロスされる器用な患者さんばかりではないので、患者さんに合わせたテーラーメイドのメインテナンスは必要ですね。鈴木:当診療所におけるインプラントの患者さんの歯間ブラシの定着率は非常に高いので、歯間ブラシで可能なかぎり歯肉縁上のプラークコントロールができればよいですし、フロスが使いにくい患者さんには歯肉縁下にアプローチしやすいタフトブラシを勧めるなどで対応しています。加藤:歯間ブラシは、一般的にテーパー型が多いなか、「インターデンタルブラシ デュアルアングル」の特長は、バレル型(樽型)の形状になっていて歯間部やインプラント周囲まで届きやすく、独自開発の抗菌三角毛がプラークの除去効果を高めています(図7)。横谷:今回のバレル型の歯間ブラシやタフトブラシは、ある程度動かしてあげるだけで、インプラント周囲溝内を網羅するなど高い清掃性を発揮してくれるので、ホームケアを行う患者さんには勧めやすいですね。インプラントの健康寿命延伸に歯科医療従事者がやるべきこと鈴木:インプラントのメインテナンスに注目が集まっている昨今、インプラントを健康な状態で保つ期間、いわば「インプラントの健康寿命」をできるだけ長くするために歯科医療従事者がやるべきことについて、それぞれの立場からお聞かせください。横谷:まずは、基本治療をしっかり行った上でのインプラント治療だと思います。そして、インプラント治療前後の患者さんに対する説明を先生方からも十分にしていただきたいと思います。 上部構造の設計に関しては、アンダーカットが大きい場合、やはり炎症があって除去してみるとプラークはけっこう付着しています。そこで、アンダーカットを少なくするために大臼歯の2本分の箇所に小臼歯3本分の上部構造を入れることで、プラーク付着量の減少とプロービング精度が向上したケース(図8)がありますので、メインテナンスしやすいインプラント治療を目指すことが大切ですね。大月:歯周動的治療が終わると、歯科衛生士によるメインテナンスに移行します。もちろんドクターが診ることもあると思いますが、メインテナンスの主役は歯科衛生士であり、時間が経てば経つほど、その影響力はとても大きくなります。ですから患者さんの口腔内に少しでも変化があったらその情報を共有し、歯科医師側で即座に対応することで患者さんの満足度やモチベーションの維持、コンプライアンスの向上につながると思います。それこそ本当の意味でのテーラーメイドのメインテナンスといえるでしょう。鈴木:患者さんとは今後10年、15年、20年と長く付き合っていくわけです。超高齢社会を迎えた日本において、健康だった人が不健康になってしまう可能性はさらに増え、高齢になるほど抱えている病気や服用している薬も異なります。大月先生が今述べられたとおり、生活の中のわずかな変化を患者さんのいちばん近くで把握できる歯科衛生士がその情報を歯科医師とシェアすることで、テーラーメイドのメインテナンスが提供できるでしょう。歯科医療の果たす役割がますます重要となってくる時代ですね。加藤:企業側の研究開発のポイントの1つは、なるべく簡便で効果的に広く患者さんのモチベーションを維持できるメインテナンス商品を上市することです。だれが使用してもある程度平均的な良い結果が得られる、たとえばデンタルリンスの開発など、患者さんと歯科医療従事者の両者がともにメリットを享受していただけるような商品開発が企業に求められると思います。鈴木:インプラント治療は、従来のように初期固定を重視したインプラントではなく、メインテナンスを重視してインプラントの健康寿命を伸ばす時代になってきました。インプラントは天然歯にも増して精度の高いメインテナンスが求められますので、歯科医療従事者は患者さんに有益な情報を積極的に発信していただきたいと思います。本日はありがとうございました。横谷亜希子(よこたに・あきこ)なかい歯科主任歯科衛生士。日本口腔インプラント学会認定専門歯科衛生士。日本歯周病学会認定歯科衛生士。日本歯科審美学会歯科衛生認定士。加藤啓介(かとう・けいすけ)サンスター株式会社オーラルケア事業部研究開発部研究員。図6 インプラントモデルにおける清掃効果。図7 インターデンタルブラシによるインプラント周囲溝内の清掃効果。図8 上部構造の工夫によってプラーク付着量の減少とプロービング精度が向上。図1 インプラント周囲疾患の有病率。図2 見た目からは判断できず、インプラント周囲炎となっていた症例。図3 インプラント歯肉縁下のプラーク除去率。術者がフロス類で清掃することでほぼ100%のプラーク除去が期待できる。図4 別の症例による患者と術者との比較結果。患者自身がフロスを使いこなすことは難しいが、プロフェッショナルケアでは有効。参考文献1. Atieh MA1,Alsabeeha NH,Faggion CM Jr,Duncan WJ.The frequency of peri-implant diseases: a systematic review and meta-analysis.J Periodontol.2013 Nov;84(11):1586-98.2. Fransson C,Lekholm U,Jemt T.Berglundh T.Prevalence of subjects with progressive bone loss at implants.Clin Oral Implants Res.2005 Aug;16(4):440-6.3. Serino G.Turri A.Extent and location of bone loss at dental implants in patients with peri-implantitis.J Biomech.2011 Jan 11;44(2):267-71. doi:10.1016/j.jbiomech.2010.10.014.4. 鈴木秀典.大特集 そろそろ本気で考えようインプラントのメインテンス.Quintessence DENT Implantol 2013;20(6):28-31.図5 左よりバトラーイージースレッドフロスとバトラーインターデンタルブラシデュアルアングル。

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