ORAL Information 2019
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QUINT ORAL INFORMATIONクイント・オーラル・インフォメーション4う蝕予防で認知症予防!予防歯科ができること 超高齢社会を迎えている日本において、介護が必要になる原因の第1位は認知症、第2位は脳血管疾患であり、介護予防は大きな課題となっています。とりわけ地域の歯科医療の役割を担っている全国の歯科医院においては、認知症への対応は避けては通れません。昨今、歯周病と全身疾患とのかかわりについては、大きく取り沙汰されていることもあり、周知の事実となりつつありますが、じつはう蝕菌が脳血管疾患(脳卒中)、認知機能低下(認知症)にかかわっているということが最近の研究で明らかになってきました。 本欄ではその最新知見について、大阪大学大学院歯学研究科小児歯科学教室の仲野和彦先生と野村良太先生にわかりやすく解説していただきます。 (編集部) Streptococcus mutans(以下、S. mutans)は、乳幼児期にもっとも長い時間を過ごした人からうつることが知られています。特にお母さんから子どもへと伝播することがもっとも多いとされています。このことは、コラーゲン結合能を有するう蝕原性細菌においても当てはまります。そのため、コラーゲン結合能を有するう蝕原性細菌が口腔内に存在する方がご家族にいらっしゃる場合には、子孫へと菌が引き継がれていく可能性があります。母親だけでなくお孫さんと接するおじいちゃんやおばあちゃんも注意が必要です。 残念ながら、コラーゲン結合能を有するう蝕原性細菌が口腔内に存在するかどうかは、現段階では大学などの研究施設で特殊な機器を使用しなければ明らかにすることができません。今後、簡易的な検査キットを開発・作製することができればと考えています。う蝕原性菌の中に脳血管に悪さをするタイプが存在する!その正体は、コラーゲン結合能をもっているう蝕原性細菌!大切な人とのスキンシップ。事前の口腔衛生を意識しよう。Dr.仲野が解説! う蝕原性細菌は、血清学的分類に基づきc/e/f/kの4種の血清型に分類されます。口腔内から分離されるう蝕原性細菌の約70~80%はc型、約20%がe型に分類されますが、f型やk型は5%以下の頻度でしか存在しません。これらのうち、f型およびk型のう蝕原性細菌のほとんどが、コラーゲン結合能を保有しています(c型およびe型のう蝕原性細菌では、コラーゲン結合能を保有する割合は10%前後)。う蝕原性細菌のf型およびk型の多くが、傷害のある脳血管に悪さをすることが最近の研究で明らかになりました。かけがえのない瞬間だからこそエチケットを。う蝕原性細菌のタイプ。c/e/f/kの4種の血清型に分類される。脳血管の出血を促進してやる!!fとオレ様がやってやるぜ!!

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