ORAL Information 2019
6/20

QUINT ORAL INFORMATIONクイント・オーラル・インフォメーション6Dr.仲野が解説! 先ほどう蝕原性細菌はc型、e型、f型、k型の4つのタイプに分類されると説明しましたが、コラーゲン結合能を保有するう蝕原性細菌が血液中に侵入したとしても、健康な脳血管に付着することはまずありません。脳血管に傷害などのなんらかの問題があり、血管内皮細胞下のコラーゲンが露出した場合に、コラーゲン結合能を保有するう蝕原性細菌は脳血管に付着します。一方で、通常のう蝕原性細菌は、歯のような硬組織に付着する能力しかもたないため、脳血管のような軟組織に付着することはできません。脳内微小出血は放っておくと危険!70歳以上の日本人の約15%が発症!Dr.野村が解説! 脳内微小出血は、70歳以上の日本人の約15%に認められ、脳MRIを用いた検査により点状の出血斑として検出されます。脳内微小出血があったとしても、通常無症状で経過するため見過ごされることが多いですが、放置しておくことにより脳出血に発展する可能性があります。最近の研究から、口腔内にコラーゲン結合能を保有するう蝕原性細菌が存在した場合の脳内微小出血を発症するリスクは、コラーゲン結合能を保有するう蝕原性細菌を保有しなかった場合の約14倍にもなることが明らかになっています。脳内微小出血が存在するということは、たとえわずかであったとしても脳血管に出血が存在するわけですので、出血部位にコラーゲン結合能を保有するう蝕原性細菌が付着し、脳出血を発症させるリスクになると考えられます。コラーゲン結合能を保有するう蝕原性細菌によって出血が継続・悪化する(元データより一部改変)。傷害を受けた脳内血管内皮に付着したコラーゲン結合能を有するS. mutans(走査型電子顕微鏡像)(写真提供:大阪大学小児歯科)。損傷した血管内皮損傷した血管内皮に付着するS. mutans赤血球脳MRIを用いた特殊な撮影方法によって得られた脳内微小出血の画像(赤矢印)。脳内ではどうやって出血する?キレイな脳血管なら大丈夫?!通常の止血時活性化された血小板による止血後、フィブリンや赤血球などが集積する。活性化された血小板血管の修復・止血赤血球血小板血流血管内皮細胞血管の傷害・出血,コラーゲンの露出コラーゲン結合タンパク(Cnm)を発現するS. mutans株が存在する時負電荷を帯びたCnm陽性S. mutansが正負荷を帯びたコラーゲンに付着する。負電荷を帯びた血小板は傷害部に集積できず、出血が継続する。タンパク質分解酵素(MMP-9)の発現が亢進され、出血が悪化する。コラーゲンに付着+--++血流血管の傷害・出血,コラーゲンの露出Cnm陽性出血の継続-+--++--出血が悪化MMP-9産生し,コラーゲンを分解

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る