ORAL Information 2019 インプラント
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5QUINT ORAL INFORMATIONクイント・オーラル・インフォメーションP R――製品の信頼性の高さという部分では、どのような点に重視して判断していらっしゃるのでしょうか?小倉:インプラント体はとりわけ患者さんの顎骨内に埋入される医療器具であるわけですから、最低限日本国内で使用するために必要な関連法規の要件を満たしている必要があると思います。現在国内では、おおむね50種類近いインプラントシステムが臨床現場で用いられていると聞きますが、その中には国内関連法規を満たさずに使用されているものもあるようです。 また、採用する製品については臨床での実績も重視しています。世界的に見てもシェア上位の数社は比例して臨床データの量は多くさまざまな症例についてのエビデンスが網羅されています。これはすなわち安全性、有効性が保証されていることになります。類似ケースにおける術前の綿密な治療計画にも有用です。 インプラント治療に関するインパクトファクターの高い雑誌の論文数が不足している現状のなか、私たちが採用しているシステムの一つであるアストラテックインプラントシステム(以下ATIS)では2,000編以上の文献があり、それをベースにした製品開発がされている点はインプラントシステムを選択する際の基準としています。――関連法規に準拠しエビデンスに基づいた製品を使用することは、最低限クリアすべきハードルだと思います。ほかにも実際の臨床において重視している点はございますか?小倉:今回のテーマ“安全”という観点でいうと、術者・患者さん双方にとって外科処置にともなうリスク、侵襲は可能な限り避けられることが求められるのではないでしょうか。インプラント治療における外科処置では症例によっては骨造成など、処置の必要なケースがあります。このような場合、治療時間が通常よりも必要になりますし、術者にとってはより高度なスキルが求められてきます。しかし、最近ではメーカーによってはその充実した製品群により、これらの術式を回避することができる場合もあります。私が使用する ATISにおいても、長さ6mmのショートインプラントや直径3mmのナロータイプのインプラント、そしてユニークな形態をしたプロファイルインプラントなどが揃っていて、これらを活用することで従来必要とされた骨造成を回避することが可能になる場合もあります(図3)。患者さんにとっては安全性に加え治療時間の短縮、低侵襲な治療、場合によっては治療費の軽減にもつながるのではないでしょうか。インプラントシステムを選択する際の基準安全性・有効性の保証、豊富な臨床実績――近年、急速に普及しているデジタル技術について、インプラント治療への応用についても治療の安全性に貢献するとお考えでしょうか?小倉:インプラント治療におけるデジタル技術の応用は、今後ますます適用が広まっていくと考えられますので、安全性を考えるうえでは必要な存在となるでしょう。たとえばCT画像によって、事前に患者さんの口腔内の状況をより正確に把握することが可能になり、さらにそのデータを活用したシミュレーションソフトを利用した術前診断と診断どおりに最適な位置にインプラント体を埋入するためのサージカルガイドの作製、さらには患者さん個々の口腔内環境に応じた最終補綴物の設計までもがデジタル技術の応用で可能になっています。これらの技術を応用する最大のメリットは「治療の標準化」「予知性の向上」「安全性」といった面で術者・患者さん双方に恩恵を与えられると考えています。 デンツプライシロナ社は、インプラント治療をけん引してきたアストラテックインプラントとCBCT、口腔内スキャナー、CAD/CAM領域を含めたデジタルワークフローに関して、充実した製品ラインアップが揃っています。この分野におけるトップランナーとして、今後も歯科インプラント領域におけるさらなるデジタルワークフローの発展に貢献する役割を期待しています。――本日はありがとうございました。デジタル技術が可能にする「治療の標準化」「予知性」「安全性」の担保

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