ORAL Information 2019 インプラント
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6QUINT ORAL INFORMATIONクイント・オーラル・インフォメーションP Rインプラント治療の短期的な安心と安全のためにコミュニケーションと患者さんの理解長尾 安全なインプラント治療を行ううえで、どのようなことをされているのかを教えてください。松永 安全なインプラント治療を行うにはポイントがあり、まず短期的なところからお話させていただくと、「患者さんにインプラント治療の安全性を理解していただくこと」から始まります。多くの場合、患者さんはインプラント治療に対して、さまざまな不安を抱いており、患者さんにインプラント治療を勧めるにあたっては、治療の安全性を確保するために私たちが何を行っているのかを目で見えるかたちで説明し、安心していただくことが最初に行うことです。 そして、そのうえで「患者さん自身の持つリスク」を伝えます。ほとんどの患者さんは歯周病であることや、歯を失ったという状況はわかっていますが、なぜそのような状態になってしまったのか、それが今後どのような影響を及ぼすのかは理解していません。長尾 患者さんが歯を失うに至った原因と、そのことによって起こるリスクについて、私たち歯科医師が理解できていることを患者さんと共有して、そのリスクヘッジのために何が必要かを理解してもらうことが大切なのですね。松永 そのとおりです。そのためにコンサルテーションを十分な時間をかけて行います。どの医院でも同じだと思いますが、CTを撮って模型診断や口腔内写真といったさまざまな検査・診断に基づくインフォメーションを簡潔にまとめて伝えます。そして、患者さんに自身の症状と治療内容を理解していただいたうえで、治療に移らないといけません。長尾 患者さんにインプラント治療と他の治療法の利点とリスクを十分に理解してもらったうえで、治療法を選択いただかないといけないということですね。コンピュータシミュレーションとガイディッドサージェリー長尾 次に、先生の治療計画の立て方について詳しく教えていただけますか。松永 私は治療計画を立てるにあたって、NobelClinicianというコンピュータソフトを使用しています。患者のCTデータと模型のスキャンデータをソフト上で重ね合わせることで、最終的な補綴装置の形態や歯肉の状態を確認しながら理想的なインプラント埋入計画を立てることが可能になります。 現代のインプラント治療において、このようなCTを用いたコンピュータシミュレーションは不可欠です。日本口腔インプラント学会のガイドラインにおいても示されています。CTをインプラント安全宣言―短期的な安全と長期的な安全を考える― インプラントのリーディングカンパニーであるノーベル・バイオケア社では、安全なインプラント治療について、たんに安全に手術を終えるという短期的なことだけではなく、長期にわたって安定した治療結果を口腔内に維持させるという、短期的・長期的な視点から考えている。ノーベル・バイオケア社のプロダクツを用い、臨床において短期的・長期的な安全を実現している松永興昌氏の取り組みについて、長尾龍典氏に聞き出していただいた。 (編集部)松永興昌福岡県開業:松永歯科クリニック福岡歯科大学 咬合修復学講座 臨床教授日本口腔インプラント学会代議員NobelClinician:患者様のCTデータ(骨・解剖学的情報)と補綴データ(形態・対合情報)を用いて理想的な埋入位置やアクセスホールのコントロールまでも可能となる。松永症例:サージカルテンプレートを用いることで、複数のインプラントの埋入であっても、それぞれを三次元的に正確な位置に埋入することができる。

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