ORAL Information 2020
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 すでに実践されている歯科医院は多いと思いますが、歯みがきの際、歯磨剤ではなく成分の残留を気にすることなく使用できる、洗口液の「コンクールF」を使うことがオススメです。その理由として、う蝕や歯周病予防の効果が期待できることに加え、使用時のアルコール濃度が0.2%以下と非常に低いので(他社の洗口液は10~20%程度)、刺激が少なく安心して使用することができます。洗口液は「殺菌」というイメージがありますが、「コンクールF」はプラークの付着を抑制する効果がありますので、歯ブラシを洗口液にこまめに浸して口腔ケアを行う方法もオススメします。■う蝕・歯周病を予防するための「コンクールF」活用法Ⓓ 要介護4以上の患者さんの誤嚥性肺炎の発生率は、急に高まります(右図)ので、介護度が上がる前から適正な口腔ケアを継続して行うことが大切です。 口腔粘膜に乾燥した汚れなどが付着していない場合は、歯ブラシを使って清掃します。その際、奥歯から手前にかき出すように磨きます。そして、何度も同じ場所を磨かないように、そして磨いた場所と磨いていない場所がわかりづらく磨き残しがないように、“一筆書き”で磨くのがポイントです。なお、嘔吐反射が強い患者さんの場合は、上顎臼歯部頬側面から磨くと良いでしょう(写真~)。Ⓓ口腔乾燥状態(軽度)要介護度別の誤嚥性肺炎の発生率大石恵美子、要介護者の口腔内状況と口腔ケアの必要性について。介護保険制度の円滑適正な実施に資するための歯科口腔情報提供モデル事業より 資料をもとに編集部作成要支援要介護1要介護2要介護3要介護4要介護5誤嚥性肺炎0%10%20%30%40%50%60%12.6%17.7%19.0%22.6%42.2%56.5%こまめに浸してこまめに浸して清掃を行います。清掃を行います。使う際に適度に使う際に適度に水気をとります。水気をとります。■これ一本で手軽に保湿「マウスジェル」活用テクニック ジェルタイプの「マウスジェル」は保湿力にすぐれているのが特長です。蒸散&乾燥を防ぐため、粘膜を保護する役割として口腔ケア終了後に使用します。伸びやすくダマにならないので、術者にとっても操作性がとても良く使いやすいです。患者さんにとっては、不快感がなく、塗りごこちが良いことも口腔ケア製品選びでは大切なポイントです。そして、ジェルは厚塗りNGです(写真、)。厚塗りするとダマになりやすく、ジェルが剥がれ落ちやすくなります。口腔内全体に均一に薄塗りすることがコツです。薄く、こまめに塗布して保湿状態と抗菌状態を長く保つことを心がけてください。口腔粘膜だけでなく舌や歯にも塗ると良いでしょう。厚塗りせず薄くこまめに塗ることを心がけましょう。◆TOPICS 感染症対策③エアロゾルの飛散を防ぐために保湿ジェルで歯みがき! 飛沫やエアロゾルの飛散を極力防ぐために、粘着性が高く為害性の少ない保湿ジェルで歯みがき清掃を行う方法も1つです(写真)。もちろん、保湿ジェルには殺菌成分が配合されていない、もしくは殺菌効果が低いことが挙げられるため、患者さんの状態を見きわめて使い分けると良いでしょう。COVID-19インフォメーション コロナウイルスの感染のレセプター(ACE-2)は口腔内に多く存在し、特に舌の上皮細胞に多数発現していることが多くの論文で明らかになってきました。ウイルスの侵入経路である舌には舌乳頭が多数あり、味を感知する味蕾はこの舌乳頭に集まっています。そのため感染の初期には、味蕾の味感知機能を障害し、味覚障害が起こすことが示唆されています。 歯科衛生士が行う口腔ケアは、口腔細菌由来の肺炎の防止と新型コロナウイルス感染時の重症化予防につながると考えられます。QUINT ORAL INFORMATIONクイント・オーラル・インフォメーション6

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