ORAL Information 2020
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患者さんだけでなく家族も、継続できる口腔ケアを。 訪問診療において、歯科衛生士が患者さんの口腔ケアに介入できる頻度は、週1回(月4回)程度ですので、日々の口腔ケアはご家族が担います。 毎食後、「歯みがきしてあげてくださいね」と案内するより、たとえば2時間おきにお口にスプレーをしていただく方が無理なく実行できます。ご家族の方には「マウスリンス」をスプレータイプのボトルに移し替えてベッドサイドに常備していただくことをオススメします(写真)。 ご家族の負担を軽減しつつ、効率的な口腔ケアを導入させるテクニックを普及させるのも私たち歯科衛生士の大切な仕事です。 マウスリンスは、スプレー容器を応用することで、汎用性が広がります。基本的に泡状・霧状に出る2種類ですが、出方はさまざま。広範囲に広がって出るタイプや、きめ細かな粒子になるタイプなど個性があります。 私自身、患者さんから「●●の容器が良かったよ。使ってみてね」とアドバイスを受けることもしばしばで、用途に応じた容器を選ぶ楽しさもあります。皆さんの歯科医院や臨床現場でも口腔ケアで使用するスプレー容器を吟味してはいかがでしょうか?■スプレーボトルによる「マウスリンス」活用テクニックⒺ 重度乾燥状態は、要介護3では滅多にない状態ですが、まれに見ることがあります。痂皮や頑固な付着物が口蓋にこびり付き、直接剥がそうとすると出血の恐れもありますので、口腔粘膜を傷つけることなく、汚れを浮かせて除去するテクニックが求められます。 そこで、100円ショップなどで購入できる泡ボトルによる「マウスリンス」を活用した口腔ケアをご紹介します(写真、)。E口腔乾燥状態(重度) 粘膜部分の乾燥がひどく、汚れや付着物がついている箇所にスプレーします(写真)。ここでは痂皮を想定したオブラートを舌に付着させます(写真、)。 液体タイプの「マウスリンス」は、乾燥汚れへの浸透効果が高いですが、痂皮などの厚みのある堆積物に対してはマウスリンスが流れてしまうため、なかなか汚れを浮かせることはできません。 そこで、泡ボトルを使用して「マウスリンス」を泡状に噴霧することで滞留性が良くなり(流れにくくなり)、汚れが浮きやすくなります(写真、)。汚れを取る際は、十分ふやかしてから粘膜状態に適したスポンジブラシで取り除きます。無理やり中央部から取ろうとすると、剥がす際に口腔粘膜を傷つける恐れがあります。ウェットシートで付着物をこまめに取ってください(写真)。 除去後、「D口腔乾燥状態(軽度)」(前ページ参照)の工程を繰り返し、最後に唾液腺や口唇などのマッサージと口腔内の保湿を行います。■泡ボトルによる「マウスリンス」活用テクニックQUINT ORAL INFORMATIONクイント・オーラル・インフォメーションP R7

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