ORAL Information 2021
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QUINT ORAL INFORMATIONクイント・オーラル・インフォメーション2かった」とおっしゃることもあり、歯科医師側からの情報発信もまだまだ足りていないと日々実感しています。 このような歯周治療の現状に対して、歯周病を専門に診療できる歯科医師の育成のために、本学会では認定医制度や指導医制度を設け、その取得を目標としてもらうことで歯周治療のボトムアップを図ってきました。また、本学会の認定医は、2018年に認定医の一本化を目的として発足した日本歯科専門医機構の制度認証を受けた日本歯周病学会の専門医への道に通じています。 さらに、インプラント治療や矯正治療などの専門医についても日本歯科専門医機構での制度化が急がれていますが、本会にも歯周インプラント認定医、指導医があるので、日本歯科専門医機構の要件を満たす専門医を育成できるように学会自体を変えていく必要があるでしょう。歯科医療従事者のやる気を高める日本臨床歯周病学会 日本臨床歯周病学会としては、このような専門医制度に対する取り組みを行っていますが、まだまだ国民の専門医制度への認知度は低いため、認定医取得のモチベーションが上がらない歯科医療従事者の方がたも多いのではないでしょうか。しかし、認定医として仕事をすると、治療自体に自信がもて、患者さんの信頼が得られます。その結果メインテナンスに移行する患者さんも増え、長いお付き合いになることもあります。患者さんにはもちろん感謝されますし、転居のさいに、わざわざ時間をさいてあいさつに来られる方もいらっしゃいました。つまり、自分の歯科医師としての仕事のレベルアップを図ることで患者高井康博 たかい・やすひろ患者さんの人生にかかわる喜び、いまだ課題の多い、歯周治療への理解 現在の日本は超高齢社会であり、「人生100年時代」という言葉を耳にする機会も増えてきました。しかし、2016年の高齢社会白書によると、日本人男性の平均寿命は80.98歳、女性は87.14歳である一方、健康寿命は男性72.14歳、女性74.79歳と両寿命間にはいまだ大きな差があることがおわかりになると思います。この差は個人のQOLの問題だけでなく、医療費や介護費の増大という国家レベルの問題もはらんでいます。 本紙の今回のテーマは「歯科からはじまる感染予防と元気なカラダ」ですが、まさに本学会が対象とする歯周病は細菌感染症であり、その治療やケアをすることが、歯の喪失を防ぎ、ひいてはオーラルフレイルを予防するなど、国民の健康管理にもつながると考えております。 しかしながら、多くの国民には歯周病に関する知識がまだまだ浸透していないようです。これには私たち歯科医療従事者の責任も大きく、たとえば、患者さんに歯周病の検査をしても、「検査を受けるのが初めてです」と言われたり、重度の歯周病患者さんが、「以前の歯科医院では歯周病について何も説明されな高井康博・日本臨床歯周病学会新理事長インタビュー日本臨床歯周病学会は、2023年に設立から40周年を迎えます特定非営利活動法人 日本臨床歯周病学会 理事長1988年、広島大学歯学部卒業、同年、広島大学歯学部第一口腔外科入局。1994年、広島大学医学部麻酔科にて全身管理の研修。1995年、広島大学歯学部第一口腔外科退局、1996年、高井歯科医院開業。2004年、医療法人双樹会高井歯科医院開設。日本臨床歯周病学会指導医/日本臨床歯周病学会歯周インプラント指導医/日本歯周病学会理事・歯周病専門医/アメリカ歯周病学会/東京医科歯科大学非常勤講師

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