QUINT ORAL INFORMATIONクイント・オーラル・インフォメーション3歯科医療に、誇り、満足を感じるために 今年度より新しく日本臨床歯周病学会理事長に就任された高井康博先生に、日本の歯周治療の現状、歯科医療従事者としての仕事の喜び、これからの時代の学会のありかたへの理事長としてのお考えと今後の抱負をうかがいました。 （編集部）さんの人生に深く長くかかわる仕事になっていきます。患者さんの人生のQOLを上げるために力を尽くせるということは、歯科医師として一番のモチベーションになります。 学会への入会についても同じようなことがいえます。初めの入会動機は、「友達に誘われた」という方も多く、かならずしも高い志をもってはいないかもしれません｡しかし、学会員として活動しているうちに、患者さんのQOLを上げるという使命に気付き、歯科医療従事者としての職務をまっとうするのだという意識が芽生えます。これが、学び続けるためのモチベーションとなるのです。 歯科医療従事者の皆さまは、日々技術の習得や経営の問題で頭がいっぱいかもしれません。しかし、１日も早くその使命や、一緒に学ぶ楽しさに気付いてほしいのです。なぜなら歯周治療を必要とする患者さんはたくさんいて、長く待ってはいられないからです。 学会に入会して得られることは他にもあります。それは、最新の情報を得られることです。たとえば現在、歯周病の新分類が決まり、表記方法について順次移行が始まっています。これらに関する最新情報を得られるのも、学会に入会することの良さといえるでしょう。なお、この新分類に関しては当学会も翻訳に携わった書籍『歯周病およびインプラント周囲組織の疾患と状態に関する新分類』（クインテッセンス出版）があります。新分類はわかりづらいという声も聞きますので、今後は、新分類に関するわかりやすいビデオを作って、ホームページ上で会員がいつでも見られるようにするのも一案です。COVID-19下でのオンラインの取り組み 今年の当学会の第39回年次大会は、きたる7月10日（土）～25（日）の間、オンラインでの開催となります。昨年は、COVID-19の影響で新会員の増加が一番見込まれる年次大会が中止になりました。しかし、当会の会員は予想に反し増え続けました。これにはオンラインでの情報発信を続けたことが大きく寄与していると思います。 日本臨床歯周病学会では、年会費を払っていればすべての支部の教育研修会に参加できます。今までの現地開催にくらべ、オンライン開催では参加者数が1.5倍から数倍近くに増えています。どこからでも簡単にアクセスできる利便性が大きいのでしょう。 この現状を踏まえ、私は今後オンライン上でのコンテンツを充実させたいと考えています。本学会の会員へはもちろんのこと、国民にも提供したいと考えており、頑張って情報を得ようとしなくても、自然に情報が入ってくるような形での情報発信を模索しています。SNSを活用するなど、学会ホームページ以外の場での発信も検討しています。 COVID-19が収束した後も、年次大会や支部教育研修会などの催しは以前のような現地開催のみの方式ではなく最低限ハイブリッド開催で、場合によってはオンラインのみの開催となっていくでしょう。ただし、オンライン開催では演者の著作権保護の問題などもあるので、その点については学会として十分に対策を考えていかねばなりません。今こそ新しいことに挑戦できる機会 COVID-19下での理事長就任となり、難しい舵取りを任されていると感じています。しかし現在、COVID-19という感染症と戦うことで、歯科医療従事者の皆さまも、国民の皆さまも、それぞれに感染症に対する意識が高まっていると思います。 この意識の向上を有効活用すれば、「歯科からはじまる感染予防と元気なカラダ」に対する行動変容へとつなげられると思います。私は日本臨床歯周病学会理事長として、この状況を新しいことに挑戦できる機会ととらえ、国民に、より一層歯周病に関心を持っていただけるようその啓発に努め、国民の健康、福祉の増進に寄与できるよう邁進していく所存です。本書は2017年11月に米国シカゴで開催のAPP/EFP共催ワークショップの会議録で、歯周病学・インプラント学の専門家によるレビューと各ワークグループによるコンセンサスレポートの全訳が収録されている。今後の臨床・研究に必須な最新ガイドラインである。歯周病およびインプラント周囲組織の疾患と状態に関する新分類アメリカ歯周病学会（AAP）／ヨーロッパ歯周病連盟（EFP）共催2017ワールドワークショップ会議録●Kenneth S. Kornman／Maurizio S. Tonetti：共編 村上伸也：監訳／日本歯周病学会／日本臨床歯周病学会：共訳●320頁 ●A4判●定価：7,480円（本体6,800円＋税10％）
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