ORAL Information 2021
4/24

ウエルテック×大阪大学歯学部口腔から全身の健康を科学する人生100年時代における産学連携のあり方 大阪大学大学院歯学研究科小児歯科学教室とウエルテック社の関係は、2016年2月に掲載された日本経済新聞の記事がきっかけだ。「虫歯菌、脳出血に関与 新たな予防法に期待」という見出し、そして同教室の最新研究をクローズアップした大手新聞社による記事にウエルテック担当者の目が留まった。自社製品に関連する内容ということもあり、早速アポを取り、その記事を片手に研究室のドアをノックした。「コンクールFで、全身疾患に対する予防効果を示すことは可能ですか?」と質問し、それに対して仲野氏は「では、検討してみましょうか」ということになり、そこからウエルテック社と小児歯科学教室の共同研究の第一歩がスタートした。 ウエルテック社の製品を試すきっかけになった理由は、小児歯科学教室を受診する患者さんの特徴にあった。仲野氏は当時を振り返る。 「本院小児歯科外来には小児や障がい者、そして妊産婦の患者さんが年間のべ約13,000名受診されます。小さな子どもがうまくブラッシングできるかというと難しい。障がいをもたれた患者さんにとっても同様です」 仲野氏は、子どもや障がい者だけでなく妊産婦で歯磨きがうまくできない場合は、歯磨きにこだわらず、マウスウォッシュを活用することもセルフケアの1つの方法だと提案する。 「定期的にプロフェッショナルケアできれいにする。そして、セルフケアのブラッシングできれいにプラークを取る。小さな子どもや障がい者の患者さんはセルフケアが難しい場合がありますので、マウスウォッシュなどの力を借りてうまくケアできれば良いと考えています」 ウエルテック社の製品を実際に試してみようと思った理由は他のマウスウォッシュとの違いにあった。仲野氏は続ける。 「マウスウォッシュといえばアルコールが入ったもの、それから非常にボリュームの大きい商品のイメージが強かったです。これでは、子どもたちや障がいをもった患者さんは、使いにくいです。しかし、ウエルテック社のコンクールFは、アルコールがごくわずかで刺激が少ないこと、また希釈タイプのためボリュームがかさばらない。さらに希釈タイプは濃度を調整できるので、患者さんの口腔内状況に応じて用途が分けられます。それならばと、小児歯科領域で臨床応用していきたいと担当者にお伝えしました。現在は小児や障がい者、妊産婦にも安心して使用してもらっています」 このようなやり取りから、ウエルテック社と大阪大学の共同研究がスタートしたのである。産学連携のきっかけは?う蝕予防に関する新聞記事 口腔ケア領域において定番のマウスウォッシュといえるウエルテック社の「コンクールF」。同社は、歯科医療従事者により安全・安心してコンクールFを活用してもらうため、このたび大阪大学大学院歯学研究科小児歯科学教室(仲野和彦教授)と連携し、その有用性を示すデータ収集に取り組んでいる。本格的な臨床研究を行うため、2020年11月には研究科内に「口腔全身連関学共同研究講座」を立ち上げた。今回はその経緯と直近の成果について取材する。 (編集部)仲野和彦教授大阪大学歯学部附属病院小児歯科外来QUINT ORAL INFORMATIONクイント・オーラル・インフォメーション4

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る