ORAL Information 2021
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 『Journal of Oral Science』に、コンクールFを用いた洗口は歯周病およびう蝕の予防に有効であると掲載されたことで、ウエルテック社に寄せられていたこれまでの不安の声や疑問が少しずつ解消されていくなか、同製品を用いた企業活動はさらなる展開をみせることになる。 歯科企業の社会的責任として、口腔の健康から全身の健康に貢献するために「マウスウォッシュを用いた口腔細菌の制御が全身疾患の予防に有用であることを証明する」という高い目標を掲げ、さらなる課題を取り組むべく2020年11月、大阪大学大学院歯学研究科内に「口腔全身連関学共同研究講座」を設置した。 共同研究の第1弾として、「糖尿病患者に対するコンクールFの有効性の検証」に関する臨床研究をスタートした。その概要について、仲野氏はこう説明する。 「『糖尿病患者における薬用マウスウォッシュを用いた洗口による歯周病原性細菌種と糖尿病マーカーの変化に関する検討』を掲げ、糖尿病クリニックにて臨床研究を開始しました。糖尿病の患者さんにコンクールFを習慣化してもらい、歯周病原性細菌種の変化やHbA1c 値の変化についてデータを解析し、糖尿病マーカーに改善傾向が見られるかを調べる研究です(図5)」 仲野氏は、予備的な検証をもとに研究を進めていくなかで、少しずつではあるが手ごたえを感じ始めていた。  「その検証では、患者さんの中にこれまで糖尿病の数値が改善しなかった人に改善が見られ、口腔ケアに対するモチベーションが向上しました(図6)。改善の傾向として、糖尿病歴が短い患者さんへの効果が高いことが示唆されたので、現在は大阪府内の糖尿病クリニックに協力していただき、約300名を対象とした大規模調査を行っています」「口腔全身連関学共同研究講座」を開設本格的な臨床研究を開始コンクールF添加減少コンクールF濃度(%)コンクールF非添加0%0.1%1%00.1101020304050形成抑制作用バイオフィルム密度(%)減少コンクールF濃度(%)コンクールF添加コンクールF非添加0%0.1%1%形成抑制作用バイオフィルム密度(%)00.1101020304050図3 歯周病原性細菌(P. gingivalis FimA I型)のバイオフィルム形成抑制能図4 う蝕原性細菌(S. mutans 血清型c型)のバイオフィルム形成抑制能歯周病原性細菌種の多い人を抽出:10名コンクールFを使用:3か月間大阪市内の糖尿病クリニック唾液検体より歯周病原性細菌種(10菌種)の存在をPCR法で特定:21名図5 糖尿病患者さんへの効果の予備的検証。コンクールFを3か月間ご使用いただいた0.0Ⅰ型Ⅱ型Ⅰ型Ⅱ型0.20.40.60.00.20.40.6コンクールF非添加P. gingivalis5x109個(OD600値=0.5)以上まで増殖明確な減少適正使用濃度:0.28~1.12%増殖抑制作用P. gingivalisコンクールF(1%)添加OD600値OD600値図1 歯周病原性細菌の増殖抑制能コンクールF非添加適正使用濃度:0.28~1.12%増殖抑制作用S. mutansS. sobrinusS. mutansS. sobrinusコンクールF(1%)添加1010個(OD550値=1.0)以上まで増殖ほとんど0まで減少OD550値OD550値血清型c血清型e血清型f血清型k血清型d血清型g0.00.51.01.52.0血清型c血清型e血清型f血清型k血清型d血清型g0.00.51.01.52.0図2 う蝕原性細菌の増殖抑制能QUINT ORAL INFORMATIONクイント・オーラル・インフォメーション6

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