ORAL Information 2021
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新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)はいまだ収束せず、幾度にもわたり緊急事態宣言が発出されました。歯科医院で定期的にメインテナンスを受けて口腔を健康に保つことが、全身の健康にも寄与するというのは周知の事実ですが、緊急事態宣言後は不安・ストレスの増大や歯科医院への受診抑制によって、患者さんの口腔内の環境は悪化しています。この状況下において、多くの歯科医院でスタンダードプリコーションに加え、検温や手洗い、アルコール消毒、マスクの着用が今や当然となっていると思います。しかし私は医療法人を運営する者として、従業員とその家族はもちろん、来院していただく患者さんを守るためには、新型コロナ対策のレベルをもう一段階上げる必要があると考えました。その取り組みが自院で実施できるPCR検査です。現在、スポーツ選手など人が多く集まる場所で仕事に従事する方は、PCR検査を受けることが新しいスタンダードになっています。当法人では毎週金曜日に、歯科医師やスタッフなど従業員全員が医院でPCR検査を受けています。当法人で用いているPCR Dentalの検査キットは、唾液採取だけで検査可能なので業務に影響することもなく、誰にでも受け入れられやすいのではないかと思います。また本キットは、唾液を直接PCR 検査にかけるのではなく、一度分離させて核酸抽出し 検査を行うリアルタイムPCR法であり、より正確な検査レポートが可能です。これからの時代において毎週PCR 検査を行うことは、患者さんに安心して通っていただける環境づくりだけでなく、現場で働く従業員の安心にもつながる、新しいスタンダードとなるでしょう。われわれには、安心・安全な歯科医療を提供することが求められています。ウイルスの変異株も確認されている現在、安全で有効なワクチンが国民に広く供給されるにはまだ時間がかかります。患者さんと接する機会が多い職業だからこそ、安心を確保するための新型コロナ対策におけるオプションのひとつとして、取り組むメリットがあるのではないでしょうか。 歯科医院における新型コロナウイルス感染症の対策は万全でしょうか。スタンダードプリコーション(標準予防策)に加え、3密(密閉・密集・密接)の対策が重要なポイントになることはいうまでもありません。可能な限りでの予約間隔や使用ユニットの調整で密集回避を、定期的な窓開けなど換気の徹底で密閉回避を、さらには口腔内バキュームと口腔外バキュームの併用など、あらゆる対策を講じている歯科医院は多いでしょう。 本欄では、withコロナ時代に患者さんが安心して通院できる「選ばれる歯科医院」の新しいスタンダードとして、歯科医師をはじめ従業員全員に週1回PCR検査を行う取り組みを行っている尾島賢治先生(東京都開業)に、その考え方や使用製品についてうかがいました。 (編集部)withコロナ時代における歯科医療従事者のための唾液採取によるPCR検査「患者さんが安心して通える環境づくりの新しいスタンダード」新型コロナウイルス感染拡大を経験している最中、自助努力として通常対策以外に何ができるのか見当がつきませんでした。しかし、患者様に安心して歯科医院に通っていただくために、その従業員が定期的にPCR検査を行うという取り組みはとてもすばらしいと思います。その取り組みに賛同し、われわれのクリニックにおいても定期的なPCR検査を習慣化できればと、前向きに考えています。 菅原 準二先生(仙台青葉クリニック)尾島 賢治先生医療法人社団スマイルイノベーション理事長昭和大学歯学部卒業同大附属歯科病院 矯正歯科入局本郷さくら矯正歯科開院(2007年)医療法人スマイルイノベーション設立・理事長就任、スマイルイノベーション矯正歯科・新宿開院(以上2014年)DAO(Digital Aligner Orthodontics)Education Center開設(2019年)イタリア、スイス、アメリカなど各国で講演・受賞歴ありPCR検査は自分のための検査だと思っていましたが、実際に行ってみるとそれにより周りの同僚や患者様に対して安心していただけるということがよくわかりました。定期的に行っていることで職場の雰囲気も明るくなった気がします。こんなに簡単な方法でできることも驚きました。また、実施していることについて喜んでいただける患者様の声を聞いてより嬉しくなりました。            熊谷 友理子先生(スマイルイノベーション歯科・新宿)職場で毎週PCR検査をするだけで、こんなに気持ちが変わると思いませんでした!とても良いアイデアだと思います!歯科医院・勤務医の声QUINT ORAL INFORMATIONクイント・オーラル・インフォメーション8

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