デンタルアドクロニクル 2016
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100臨床力アップ  に直結! 話題の研修・セミナー情報!臨床力アップ  に直結!臨床力アップ  に直結!臨床力アップ  に直結!講師が語る IPSG包括歯科臨床研究会(Inter-disciplinary Practical Study Group)は、1994年に元・日本歯科大学教授の稲葉 繁氏を中心に、ドイツ・アルゴイ地方の歯科研修で発足した歴史あるスタディグループである。超高齢社会に突入して以来、インプラント治療が欠損補綴にもたらした利益は大きかったが、昨今ではさまざまな要因から患者・術者ともに慎重を期するようになってきている。こうした中、IPSGはインプラントだけに頼らない、ドイツ式の正統的な、全身の健康に寄与する補綴が学べる貴重な場としてますます人気を博している。そこで本稿では、そのIPSGの理念と、2016年から開催される「第1回 咬合認定医コース」について、代表を努める稲葉 繁氏(以下、繁氏)と、広報担当の稲葉由里子氏(以下、由里子氏)にうかがった。歯と歯肉のことしか考えない歯科医療からの脱却を かねてから、「歯と歯肉のことだけ考えていては、歯科医療として不足だ」と折にふれて語ってきた繁氏。今回のインタビューでも、その思いにはまったくブレがない。 「正しい歯科医療を通じ、国民のみなさんの健康をどう守っていくかということがわれわれの使命です。そもそも、健康という言葉は『健体康心』の略で、健やかな体と康(やす)らかな心という意味ですが、これまでの歯科界では健康という言葉は使いながらも、やはり歯と歯肉ばかりが重視され、全身の健康が真の目的とされることはほとんどありませんでした。要するに、歯をどのように治療し、どう噛ませるのか。それはたしかに重要ではありますが、その先に何があるのかを考えていただきたいということです。噛めて、食べられるということは全身のホメオスタシス(生体恒常性)を守るための第一歩です。歯科医師は、その重責を担っています。IPSGではつねにそういうことを考えながら、食物摂取系を患者さんのライフステージに応じて守っていくという気持ちを育てていきたいのです」 1992年、日本歯科大学で日本初の高齢歯科学教室を設立した繁氏の言葉だけに、その含蓄は深い。「摂食嚥下」ではなく「摂食・咀嚼・嚥下」を語る時代へ また、しっかりと噛めて食べられることが全身の健康への第一歩であることはすでに述べられたが、このことについて繁氏には持論がある。それは…… 「最近、医科との連携の中で『摂食IPSG(Interdisciplinary Practical Study Group、包括歯科医療研究会)代表 稲葉 繁(写真右)/広報担当 稲葉由里子(写真左)プロフィール 稲葉 繁:1964年、日本歯科大学卒業。1978年、西ドイツ(当時)チュービンゲン大学留学(Koerber E教授の下で客員教授。1992年、日本歯科大学歯学部高齢者歯科学教授(日本初の高齢者歯科学教室)。1999年、同学補綴学第三講座教授。2010年、日本老年歯科学会名誉会員。テレスコープの日本におけるパイオニアとして著名。また、総義歯の上下顎同時印象法の開発者、高齢者歯科医療の先駆者でもある。稲葉由里子:1997年、日本歯科大学卒業。1999年、稲葉歯科医院開業。「医療には最善の方法が実行されるべきである」という信念のもと、包括歯科医療を徹底指導。BasicAdvanceマネージメント補綴予防咬合咬合育成テレスコープ顎関節症審美咬合こそが、歯科医師として患者さんに一生かかわるために必要な知識。

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