デンタルアドクロニクル 2016
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28 特別座談会2茂久田● この数年で「患者本位の治療」という言葉が誌面をにぎわせていますが、先生方はどうお考えですか?荒井● これはすごく難しい問題ですね。患者満足はもちろんCS(Customer Satisfaction)ということですので不可欠ですが、患者本位というと言葉の捉え方によって千差万別ですからね。現実に歯科の知識が乏しい患者さんはまだまだたくさんいます。私たちが学んだもののベストの組み合わせを提供し予後を限りなく高めるのか、それとも、患者さんとディスカッションして、一番の希望を叶えていくのが患者本位なのか。人によって答えは違うと思います。しかし、どんな治療にせよ、すべての治療の根幹をなすエンド治療だけは術者本位で進めたいですね。康本● そうですね。エンドは土台の治療ですから、ここで失敗するとその上の補綴物もすべてダメになってしまいますから。要するに患者本位という言葉を術者も患者さんも、はき違えることだけは避けたいです。ところで、どういう思いで術者、そしてその向こうにいる患者さんに商品を届けようとされていますか?茂久田● 私たちが高品質な製品を提供していくことで、きちんとした気持ちのよい医療を受けられていない患者さんが減ればと願っています。「痛い」「怖い」「時間がかかる」、そこに加えて「お金がかかる」、だから「行きたくない」、「後回し」、その先の「本当にひどくなるまで行かない」という負のスパイラルを断ち切りたいと考えています。 ここで思い出されるのは先生方がおっしゃるように治療の土台となるエンドの重要性ですね。痛いし、怖いし、時間がかかります。それを軽減しようというコンセプトから生まれたファイルがレシプロックです。「折れにくくやわらかい」「はやく簡単に形成と充填ができる」「根管を守る」というメリットがあり、患者さんへの危険と負担が少ない、簡単で満足できるエンドが可能になるのです。康本● 歯科医師の中でもエンドに関しては、質の格差が叫ばれていますからね。少しでもその格差を減らすマテリアルの充実は賛成です。荒井● 私も同感です。どの治療にも全力を尽くしますが、エンドだけはとくに心して対応しています。康本● 経済的には、私たちは価格弾力性が非常に高い業種ですから、医科のように価格弾力性が非常に低くて、どんな人たちも熱が出たら病院に行くわけではないのです。だからこそ、患者さんの歯科への関心を高め、高い治療でも意味があり、価値のあるものとメーカーサイドからもインフォーメーションしてほしいのです。歯医者自ら言っても患者さんは聞きませんから(笑)。荒井● 近い将来、患者説明用に使えるカタログや、説明用資料媒体を、MOKUDAさん発で提供いただける日を楽しみにしています。診療に追われる歯科医師にはそれがもっとも朗報ですので。茂久田● カタログの充実もさることながら、患者説明用資料作成も同時に力を入れてすすめていきたいと思います。康本● われわれがその製品のよさを患者に説明してから、治療器具や治療法を納得してもらうのはあまりに時間のロスですので、大いに期待しています。エンド治療の重要性が患者に伝われば最高茂久田 篤株式会社茂久田商会 代表取締役社長日本歯科用品輸入協会長荒井昌海東京都・神奈川県開業 医療法人社団 翔舞会 理事長MID-G主宰・理事

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