デンタルアドクロニクル 2016
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40 特別座談会茂久田●「歯科医院にとって診療と経営は表裏一体である」という言葉は以前からよく聞きますが「患者満足度・スタッフ満足度が患者さんを増やす」という点も、近頃、耳にするようになってきました。この点を先生方はどうお考えですか。荒井● スタッフ満足が先か、患者満足が先かという問題は、私の中では既に「スタッフ満足が先」という結論がでています。決してニワトリが先か卵が先かというような答えのない話ではないのです。なぜなら、患者さんがたくさんいらしても、日々の業務に満足しているスタッフが1人もいなかったら、よい医療を提供できるはずがなく、あっという間に患者さんは離れていってしまいます。ですからスタッフ教育こそが重要なのです。また、当たり前ですが、スタッフ満足はやさしい院長、高い給料だけでは決してありません。切られていますよね。康本● まさにそうなのです。歯科は硬組織を扱いますので、予防歯科やメインテナンスが脚光を浴び、歯科衛生士の活躍の場が広がったのです。歯科衛生士法第二条第一項・第二項において、「診療補助」から次の「予防処置」が実践できるようになったのです。荒井先生がおっしゃったとおり、スタッフが生き生き活躍することが、最終的に患者満足度を上げていく。治療は痛みが残ればもちろん患者満足はありませんが、予防やメインテナンスは口腔内が気持ちよくなったという感覚だけで評価されますからね。先ほどの「デンタルホーム」の考え方のように、一生を通じて患者をみていくには「治す」ことが患者さんの目的ではないことも多いわけです。要求度の高い患者さんには、やはり研修を受けた、あるいはレベルの高いスタッフのパフォーマンスが重要です。それを支えるものの1つが製品だと思っています。低品質の製品では歯科衛生士の業務に悪影響を及ぼすことは明らかですからね。茂久田● 予防・メインテナンス関連商品もたくさん企画中ですので、今後いっそうご満足いただけると考えています。これから先、素材の革新や機械化が進んだとき、治療のプロトコールや使う材料など、いろんな仕組みが変わっていくでしょう。先生方の医院で、スタッフ満足・時間短縮・安全・気持ちいいにつながるような製品の開発に努めていきます。スタッフの満足度が患者さんを増やし、医院の価値を高める たとえば歯科衛生士が視界を確保するためには、拡大鏡の使用が推奨されていますが、「ハイネルーペのゴーグル型」は目線を照らす一直線ライトという仕様から、好評だと聞きます。もちろん多くの歯科医師の方にも愛用されていますね。また、「口腔内をパッと照らすポータブル・オルボ」はワンタッチ照射かつ滅菌もしやすく、これも有用です。さらに、「補綴にやさしい歯間ブラシ・インタープロックス」にも注目しています。このように歯科衛生士が使用しやすい機器の充実もスタッフ満足におおいにつながると考えています。茂久田● 患者満足の前にスタッフ満足、そしてそこにはスタッフが毎日用いる製品の充実も不可欠ということですね。ますますそのような製品の充実に努めたいと考えます。康本先生はいかがでしょうか。康本● 私たち歯科医師は、臨床研修終了後、すぐに歯科医師と経験のないスタッフだけでも開業できます。ですから、これまで疾病保険対応の歯科医院を構築してきました。う蝕の洪水といわれた時代にはこのビジネスモデルでもよかったのでしょう。しかし、少子超高齢社会では太刀打ちできません。患者さんを満足させようという意識も薄い医院もあるなかで、スタッフを満足させるなんてとてもとてもという状況だったのですから。茂久田● ただ現在は、「治す医療」から「守り育てる医療」へと大きく舵が5

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