デンタルアドクロニクル 2017
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  情報も製品も、  日本から海外に発信しよう9瀧野●さんの製品へのこだわりや、われわれ歯科医師や患者さんに対する真摯な姿勢が感じられます。茂久田●の商品開発においては、社長の私の許可なくともスタッフ1人ひとりがその権限をもって進めていくようにしています。ですので、ぜひ先生方からはどんな細かいことでもかまいませんので、いろいろとご指摘やご助言をいただければと願っております。 聖域を設けずに、すべてを100%変えていくという決意を全員が持ち続けることがその秘訣です。 海外の精密工場と最初にしっかり楽しく大ゲンカしながらも、将来を見据えた改良を終えておくことで、たくさんの10年選手を世界に向けて生むことができます。古谷野●南米の大学では、アメリカなど提携する大学から年に何回か外部講師に来てもらうことがあるんですね。コスタリカでは自国の教科書がないため、欧米で書かれた本がそのまま使用されていました。また、講師は製品も一緒に持っていて現地で教えるので製品も売れるわけです。そうするうちに、アメリカの教科書や製品が現地で使われるようになるのです。たとえば自分のオリジナルの製品を世界に広めたいならば、これから講演に行くときにそれを一緒に持っていって広めていくという行動も大切ですね。 特別座談会古谷野●これからは歯科においても、日本から海外へどんどん発信していく時代になってくると思います。 大学ではいろいろな研究をしていますが、臨床へのフィードバックという点では、日本の場合は認可がとても難しく、そこで行き詰ってしまうことがあります。しかし一昔前と違い、日本の研究者も現在は英語論文を書いてインパクトファクターの高い雑誌に掲載されることで評価される時代になっています。その論文には当然オリジナリティが必要です。そういった点からも、いまの研究者は一昔前とは明らかに違った景色がみえているといえます。これも日本から海外への発信になります。岡口●論文もそうですし、日本の歯科製品ももっと輸出していく時代だと思います。私が開発した製品があるのですが、先日海外に講演に行った際、会場の半数以上の先生方がすでに使用されていることにびっくりしました。輸入ばかりでなく、これからはもっと輸出していく時代にきていると感じています。茂久田●いままでの日本の輸入メーカーは、基本的に「ドイツで評判、アメリカで売れている、だから日本でも」とそのまま輸入してきたことが多かったわけです。しかし実際にその製品を使おうとしたとき、サイズが大きすぎたり、白すぎたり、重すぎたり、硬すぎたりするんですよね。でも、そこに目をつぶって、妥協のうえで患者さんへ使っている現実があった気がします。中田●たしかに、日本の患者さんに合った、日本人の手に合ったものを使用したほうがより精度の高い治療が可能となりますよね。茂久田●私が進めていきたいのは、製品自体はドイツやスイスなど精密な工場の高い技術で製造するけれど、あくまでも使用する日本の先生方の手になじむ、日本の患者さんの口腔内や歯に合ったものを提供することです。モンゴロイド用に改良された製品ですから、メーカーにとっては新市場であるアジア圏すべてにも輸出できるチャンスを与えているのです。日本トップのドクターによる臨床のお墨付きを得て作ったものなので、「日本人、アジア圏にピッタリの最高なものができた」という自負があります。48

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