デンタルアドクロニクル 2018
38/164

特別座談会36す。ただ、日々の症例写真は、ピントや露出・角度に気を付けて、なるべくシンプルに撮影することを心がけています。その意味で、歯周組織や歯の色が正確に出るようにカメラやPCを調整することは必要ですが、あまり凝る必要はないと思います。土屋●同感ですね。カメラの性能という意味では、今は一定レベル以上のカメラならどれを選んでも一緒ですね。宮崎●症例写真は、患者さんとのコミュニケーションツールとしても重要ですよね。若手の歯科医師にとって患者さんとのコミュニケーションは悩みどころだと感じますが、症例写真はその一助としても積極的に活用できるものだと思います。土屋●そうですね。先日、開業以来27~8年通ってくださっている患者さんに初診時の症例写真をお見せしたら「私、元々はこんなだったの?」と仰り、とても感激されていました。 症例写真はすなわち記録写真であり、歯科医師にとってのエビデンスのみならず、患者さんの人生の大事な記録にもなるのだと感じています。岩野●技術的な部分でも、症例写真を見返すと「気づき」がたくさん得られます。それは患者さんにとっては必ずしもいいことばかりではないですが、歯科医師にとっては改善点や至らない点が明確になって、その後の勉強の目標ができてスキルアップを助けてくれるものになります。 ですから、症例写真を撮ることや症例発表を行うことは、自分自身の格好の教育材料だと思います。宮崎●臨床の状況によっては「今はちょっと(撮影が)つらいなぁ」ということもあると思いますが、そういう話を聞くと、それでも写真は撮っておいたほうがいいですね。い歯科医師にはそのようなメンターを見つけてほしいですね。岩野●私は「歯科はすばらしい」ということを伝えたいですね。歯科はペリオに限らず、どの分野も本当に奥が深くて、勉強すること自体がおもしろい。また、そうして知識や技術が向上することに喜びがもてる仕事です。 さらに、学び得た知識や技術を患者さんに還元して、社会貢献できる仕事でもあります。若手歯科医師には、そのすばらしさを本当に理解してほしいと思いますね。宮崎●社会構造や疾病構造が大きく変化する今の日本のなかで、歯科医療も多様化していますが、われわれ歯科医師が一生勉強し続けなければならないことは不変だと思います。 今回の座談会は若手歯科医師読者はもちろん、教育をする側の歯科医師読者にも役に立つものになったのではないでしょうか。どうなりたいか?は自分で決める若手歯科医師には「自分の得意な分野を見つけよう」と言いたい。好きなことをしっかり勉強して得意分野にしてほしい(天川)勉強は、自分から学んでいく姿勢が重要!(青島)歯科医療はどの分野も本当に奥が深く、知識や技術が向上することに喜びがもてる仕事。さらに、その知識や技術を患者さんに還元して、社会貢献できる仕事でもある。「歯科はすばらしい!」(岩野)宮崎●最後に皆さんから、若い歯科医師へのメッセージをいただければと思います。天川●「自分の得意な分野を見つけよう」とお伝えしたいですね。もちろんそのベースとして総合的に学ぶことが重要ですが、数年たてば好き嫌いがわかってくると思いますから、その好きなことをしっかり勉強して得意分野にしてほしいと思います。 というのは、以前は「何でも80点以上」みたいな歯科医師がたくさんいらしたと思いますが、歯科の各分野が専門分化している昨今では、全分野をくまなく一生勉強し続けるのが難しくなっていると感じるからです。今後は、自分と違う得意分野をもつ人と一緒に、グループプラクティスでやっていくような体制が私は望ましいのではないかと考えています。青島●私はやはり「メンターを見つけよう」ということですね。講演会や研修コースもいいと思いますが、私はメンターの治療を見たことがいちばん勉強になったと思っているので……。そうでなくても、「この人から勉強したい」と思う人がいたら、見学をお願いするなど、とにかく自分から学んでいく姿勢が重要だと思います。土屋●私も「勉強したいのなら受け身になるな」と言いたい。私は若手歯科医師には「教えてもらうのに、何で自分が行かなければいけないんだ? 教えてもらいたかったら自ら来なさい!」といつも言っています。そして私自身、出向いてでも教えてもらいたいと思われる存在でい続けたいし、若

元のページ  ../index.html#38

このブックを見る