デンタルアドクロニクル 2019
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2019年の歯科界を と導く!!MTAの特長とMTA プラス スーパー ジェル2月星今回、下野先生においでいただいてますので、MTAについてうかがいたいんですが、さんが扱っているMTAの製品名は……茂久田「MTAプラス スーパージェル」です。これは米国のアバロン社の製品でして【 COLLECTION 30ページ】。月星これはどんな特徴が? 他のMTAに比べて固まるんですか。茂久田元々Trabinejad先生がデンツプライでMTAを開発したときに一緒に携わった社員さんが、Trabinejad先生が改善できなかった、練和の後に早く乾燥しすぎる点や、練りにくさ、填入までに形が崩れてしまうところを解消するため、Trabinejad先生の理想をかなえるMTAを新しい会社でつくったという形です。月星水と練るだけじゃなくて、付属のジェルがありますよね。これは全部無機物質? 有機物質は一切入っていない? ジェルということは、有機物質を含んでいる可能性がありますね。茂久田有機物はジェルに0.3%含有されています。3:1での練和後は、0.1%程になります。生体親和性・抗菌性・ 辺縁封鎖性月星下野先生、MTAって今さかんにみんなが使用していますね。何がいいんでしょうか。下野歯髄とか根管に使える薬というのは、水酸化カルシウム製剤しかなかったわけです。それに代わって、今、世界中がMTAに注目しています。3つ、いい点があると思うんです。 1つは生体親和性が非常にいいということです。2つ目は抗菌性。これは水酸化カルシウムと同じような強アルカリ性ですから、細菌をやっつけます。それから3つ目は辺縁封鎖性ですね。辺縁封鎖性下野元々MTAはコンクリートの材料と同じですから。辺縁封鎖性は水酸化カルシウム製剤にない。しかも、MTAは水がなければ固まらない。根管の中では、周りの象牙質の間にヒドロキシアパタイトと似た成分が析出して、隙間を埋めます。こういう特長がすごい。月星この特長は、どのメーカーのMTA製品にも共通して期待できますか?下野Trabinejad先生の著書に書かれていますから、これは基本的な特徴といえるでしょう。無機成分と劣化月星実は私は材料学出身(大学院での専攻)なので思うところでは、無機成分というのは、アマルガムがなくなった今、MTAのほかに歯科ではポーセレンか金属しかありません。金属はパルプキャッピング(覆髄)に使いません。有機というのは「デグレード」(劣化)するわけですね。プラスチックは外に放置したらすぐに劣化します。口腔内のコンポジットレジンも、10年ぐらいすると劣化してきます。 われわれは、できたら無機物で修復したいんです。接着性も何もないアマルガムが50年持っている症例というのは、いくらでもありますよね。たしかに少しは辺縁漏洩もあるだろうけれど、二次う蝕や問題は起こらない。CRは真逆で、つめ方が悪いと数年で歯髄炎が起こったり、二次う蝕だらけだったりします。prole02下野正基東京歯科大学名誉教授1970年東京歯科大学卒業。『下野先生に聞いてみた[1] ペリオ・インプラントの疑問に答える、指針がわかる』『下野先生に聞いてみた[2] エンドの疑問に答える、指針がわかる』(クインテッセンス出版)、『新編治癒の病理』(医歯薬出版)など、著書・訳書・論文など多数。29

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