デンタルアドクロニクル 2019
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2019年の歯科界を と導く!!MTAは、 辺縁封鎖性が スゴイ、水分 があっても 固まる3無機成分と 辺縁封鎖性月星さて、接着性はまったくないようなアマルガムが、なぜそんなに持つんでしょう? ひょっとしたらスズによる抗菌性があるのかもしれないですね。でも、いちばん私が材料学をやっていて思うのは、無機というのは劣化しない。劣化しないことに特化した場合は、やはり無機であるということが辺縁封鎖性には重要です。MTAというのは実は接着性はあまりないんです。にもかかわらず、今、下野先生が、辺縁封鎖性とおっしゃいました。これは、まさに無機であるがゆえに実現できている。下野Trabinejad先生の本にもそう書いてありますね。月星ところが、MTA成分の新製品がどんどん出てきて、固まりにくい、操作性がいい、粘着性があり使いやすい、などと。茂久田各社が、色々なものを混ぜていますね。月星どんどん本来の目的が失われているかもしれない、という危惧を持っているんですよ。この「MTAプラス スーパージェル」というのは、下野先生、同じ辺縁封鎖性があると?下野基本的に、同じ効果が期待できると思います。しかし、先生がご指摘のように、操作性をよくすることを優先するぶん、何かを犠牲にしている可能性があるので、その辺はこれから研究していかないといけないと思うんです。 この材料が登場してから20年(1998年にFDAの認可、「ProRoot MTA」(Dentsply/Tulsa)として市販)たって、経年的な変化のデータがようやく取れるようになってきました。これらをあわせて、これから細かな報告を教えてもらいたいと考えています。 直接覆髄、間接覆髄、歯髄切断もそうなんですけれども、パーフォレーション、歯根端切除、アペキシフィケーション、アペキソゲネーシスとか、リバスクラリゼーション、すべてのエンドにかかわる処置法に、このMTAが広く使われ、しかも非常に成績がいいと聞きます。システマティックレビューを探していきますと、とくに覆髄に関したものは、圧倒的に水酸化カルシウムの何倍もMTAの臨床成績がいいと報告されています。出血 があっても 固まる下野エンドで歯根端切除をやった後、スーパーボンドで封鎖すればいいじゃないと僕は思うんだけど、出血が多いとスーパーボンドはくっ付かないことがあります。その点、このMTAは水分があっても固まるという性質はものすごいと思います。Journal Of EndodonticsにもMTAのさまざまな応用について報告がありますから、これは近い将来、水酸化カルシウム製剤にとって代わるんじゃないかと考えられます。「MTAプラス スーパージェル」にも辺縁封鎖性の特性は期待されています。月星そういうデータは出ていますか? 辺縁封鎖性とか硬組織誘導能とか。茂久田海外の論文が6本1〜6と、Jour nal of Endodonticsにもいくつか載ってまして2、3。 メリットがいくつかあります。しっとりしたジェルで練りますと、すぐにパサパサにならずに、ちゃんと形が整えられ、患部に置いてから乾くので、運びやすいというところ。あと、以前のものは、出血や滲出液が多いと動いてズレる危険性があったのですが、置いた後に出血や滲出液があっても、「MTAプラス スーパージェル」はそこにとどまるというのが利点です。参考文献1.Aggarwal V, Singla M, Miglani S, Kohli S. Comparative evaluation of push-out bond strength of ProRoot MTA, Biodentine, and MTA Plus in furcation perforation repair. J Conserv Dent 2013;16(5):462-465.2.Leiendecker AP, Qi YP, Sawyer AN, Niu LN, Agee KA, Loushine RJ, Weller RN, Pashley DH, Tay FR. Eects of calcium silicate-based materials on collagen matrix integrity of min-eralized dentin. J Endod 2012;38(6):829-833.3.Eid AA, Gosier JL, Primus CM, Hammond BD, Susin LF, Pashley DH, Tay FR. In vitro biocompatibility and oxidative stress proles of different hydraulic calcium silicate ce-ments. J Endod 2014;40(2):255-260.4.Formosa LM, Mallia B, Camilleri J. Mineral trioxide aggregate with anti-washout gel - properties and microstructure. Dent Mater 2013;29(3):294-306. 5.Qi YP, Li N, Niu LN, Primus CM, Ling JQ, Pashley DH, Tay FR. Remineralization of ar-ticial dentinal caries lesions by biomimetic-ally modied mineral trioxide aggregate. Acta Biomater. 2012;8(2):836-842.6.Camilleri J, Formosa L, Damidot D. The set-ting characteristics of MTA Plus in dierent environmental conditions. Int Endod J 2013;46(9):831-840.31

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