デンタルアドクロニクル 2019
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特別座談会根管充填材、シーラー としてMTAは?4月星「MTAプラス スーパージェル」は、あくまで覆髄(パルプキャッピング)とか、穿孔(パーフォレーション)の修復(リペア)のための材料ということでよろしいんでしょうか? 茂久田はい。月星根管充填材、シーラーの役割はないですよね?茂久田ジェルや液を多目に混ぜて、流動性を高めない限り、ちょっと使いにくいと思います。月星今、認可をとろうと思うと、米国のように覆髄剤のような使われ方なんですよね? でも、今、世界の潮流はシーラーですね。根管充填材としてのMTAとして操作性のいいのも出ていまして。 たしか「バイオアクティブグラス」というんですかね。ただ、固まりにくい感じがするんですよね。象牙質を 補強する?  脆弱化する?下野MTAは抗菌性をもつほどの強アルカリ性ですから、水酸化カルシウムや次亜塩素酸ナトリウムも、根管の中に数か月入れておくと、象牙質の脆弱化が起こるというデータがあります。 臨床応用で、今いった根管充填材としてどれだけ有効か、副作用はどのぐらいあるのか?も調べたいですね。月星臨床家からの利点も聞きますね。太い根管はシーラーとガッタパーチャじゃなくて、MTAで根管充填する。そうすると、さっき言ったヒドロキシアパタイト結晶ができるわけですよね。それが結合して補強するので、根管にガッタパーチャを詰めるんじゃなくて、MTAで根管充填したほうが強度があがるんじゃないかといわれています。割れにくいように、象牙質が強化されると。下野強アルカリ性の薬剤で象牙質の強度が強くなるというデータを本当に信用していいのか、という気持ちはありますが、今先生がおっしゃったように、MTAが硬化するときに象牙質の界面に無機成分がたくさん析出してきて、周りとくっ付くということが証明されれば、根管充填材として有用なのではないでしょうか。新しい薬・材料ですから、いろんな疑問が出てきますけれども、それを1つ1つ越えていった製品が最後に残るのでしょうね。変色は?奥野1つ質問してもよろしいですか。「MTAプラス スーパージェル」が歯を黒くしないというのは、酸化ビスマスが含まれていないということだと思うんですが、利点や物性は変わりませんか?茂久田「MTAプラス スーパージェル」は酸化ビスマスの代わりにタンタル系を入れることで、硬化能などの物性は変えずに、白いままを保てます。奥野月星先生のように、長くこの材料に触れてらっしゃる先生にお伺いしたかったのですが、歯質の黒変というのは、MTAを使用してから顕著ですか?月星デンツプライのTrabinejad先生が初期に出したMTAは、15年ぐらい前より使っていますがほとんど歯冠が変色します。よくてグレー、悪い場合はブラウンになります。奥野ブラウンですか。月星出血で変色するわけじゃないですよ。間接覆髄に使っても、グレーになりますので。prole03奥野幾久奥野歯科医院大阪府大阪市開業1997年朝日大学歯学部卒業。5-D Japan デンチャーコース講師。「Basic for Advance Denture Workに強くなろう!第1〜6回」(the Quintes-sence 2016年2月号〜12月号)など、論文多数。36

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