デンタルアドクロニクル 2019
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特別座談会7「高齢大国」に ふさわしい 指針奥野人類と世界を過去まで見わたして、これだけの「超高齢大国」に直面した国が日本以外にはない。カナダやオランダなど、インプラントオーバーデンチャーが進んだ国の先生にお伺いしたら、世界で群を抜いた高齢化率の日本が、この先どうなっていくかということに、すごく注目しているとおっしゃったわけです。 そのなかで、the Quintessenceの昨年11月号にサホライド特集が掲載されました。研究が始まって40年も経った今になって、再び特集が組まれているわけですね。本当にいちばんいいのは何なのか。先端材料もよいけれど、きちんとした裏付けと経過があって、信頼できる材料に回帰する現象が印象的でした。長く 生きていくなら、いきなりフルクラウンに しない月星極端なことを言うと、できるだけ抜髄をしない、フルクラウンにしない、インレーかアンレーで止めておくということですね。奥野それは、先生がすでにライフワークとしてなさっているお仕事そのものですよね。月星はい。おっしゃるように、抜髄してクラウンにした歯はすっからかんで、真っ先に駄目になります。もしアンレーだと、ここまで無残にはならないだろうなと思いつつ見ています。エナメル質を取っちゃうのは、やっぱりよくないですね。だから、まずはいちばん小さくMIな治療で始めて、駄目なら2番目につぎのMIな治療を選択する。 いきなりフルクラウンで、ブリッジで、痛みが出るから抜髄でって。そういう昔の考えを若手の先生が持つような教育現場があるとしたら、それは避けたいですよね!自家歯牙移植と CAD/CAMの テクノロジー月星私は自家歯牙移植をやっている関係上、鉗子類を使わせていただいて、そのうちの「ダイヤモンドコーティング抜歯鉗子・残根用」(マーチン社、)をいつも使っています【図4a、b】。奥野the Quintessence昨年11月号の、 移植における月星先生の論文に感銘を受けました。月星レプリカ、ステントのすべてを記しました。技術のある先生が素直に再現できれば、そのまま実行に移せるんです。奥野自家歯牙移植の際に、CAD/CAMを応用して、安全にレプリカを作る。実行にノウハウが必要だった内容、スムージングをはじめ細かい話まで書いてくださっていたので、すぐにでも実践したいと思いました。図4a 上顎第小臼歯が口蓋側転位しており、プラークコントロールが困難なため、抜歯を希望している。頬側のスペースが狭く、通常の抜歯鉗子が使いづらい。「ダイヤモンドコーティング抜歯鉗子、残根用」(マーチン社、)は先が細く、このような難症例にもしっかり届く。把持力も強い。図4b 抜歯直後。→ COLLECTION 49ページ参照ab「高齢大国」に どう挑むのか? ②必要な治療、不必要な治療48

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