デンタルアドクロニクル 2019
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「平成」から新たな時代へ「歯科の学び」を出版社はどう支えるのか? 「平成」にかわる新元号は4月1日に公表、そして即位にともなう改元が5月1日に予定されている。2020年の東京オリンピックを前にして、まさに時代が大きく動こうとしている。私は平成元年を迎えたとき、大学受験の直前であった。それから30年の月日が流れ、今、まさに「平成」が終わろうとしている。平成元年といえば、厚生省(当時)成人歯科保健対策検討会の中間報告で歯科保健目標の1つに、80歳で20本以上の歯を保つ「8020運動」を設定することを提言された年でもある。30年後、8020達成者が50%を超えるとは当時、想像できたであろうか? 私が入社した1990年代半ばと今では先生方の「学ぶ」意識も大きく変わってきていると感じる。私の記憶が定かであれば、入社して数年は講演が始まっても、ロビーや展示場には多くの先生方があふれていた。しかし、ここ10年は講演が始まると人の出入りも止み、皆、真剣に聴講している空気がひしひしと伝わってくる。きちんとした情報を求め、選別しているのだと感じる。 そして、少子超高齢社会のなか、歯科を取り巻く環境も大きな変貌を遂げている。これは、「小児口腔機能管理加算の新設」(口腔機能の発達不全が認められる小児のうち、とくに機能不全が著しく継続的な管理が必要な患者に対する評価の加算)、「口腔機能管理加算の新設」(老化等にともない口腔機能の低下が認められる高齢者のうち、とくに機能低下が著しく継続的な管理が必要な患者に対する評価の加算)等が盛り込まれた平成30年度歯科診療報酬改定をみても明らかである。実際の保険請求との温度差はここでは触れない。 また、診療報酬改定につづいて、昨年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2018(骨太の方針2018)」では、「国民皆保険を維持、次世代に継承し、国民の暮らしにおける安心と安全を確保する」として、国としての意思が「骨太の方針2017」よりいっそう明確に示された。歯科健診、歯科保健医療の充実に加えて、国民全体への口腔機能管理の推進、歯科口腔保健の充実、地域における医科歯科連携の構築等が盛り込まれ、まさに歯科にとって今は追い風なのである。 生涯を通じて口腔の健康を維持することが、全身の健康、ひいては医療費全体の抑制につながることが、より明確に示され、認められてきているのだ。 書籍や雑誌があふれ、講演会・講習会が乱立するなか、いま、先生方の鋭い視線が、「情報」に注がれている。歯科医療人に真に役立つ情報提供、ひいては患者の生涯にわたる健康につながる情報でなければ、やがて見向きもされなくなるであろう。 おかげさまで昨年10月にパシフィコ横浜で開催された第8回日本国際歯科大会、第8回ワールドデンタルショーは、ご参加いただいた先生方、企業の皆様のおかげで成功裏に幕を閉じた。弊社では2020年10月に「World Young Dental Innovators’ Meeting 2020」を、そして2023年には「第9回日本国際歯科大会」の開催を予定している。 厳選した最新情報をわかりやすく、正確に伝えるという原点に帰り、書籍、雑誌、新聞等の制作、そして講演会の企画・運営を全社員一丸となって行っていきたい。クインテッセンス出版株式会社 代表取締役社長北峯康充4

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