デンタルアドクロニクル 2019
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62クラレ ノリタケ デンタル株式会社Part 2 2019年に向けて有川清之山﨑長郎1液タイプボンディング材の進化有川 それではここからは山﨑先生にお話をお伺いしたいと思います。 まず、以前販売しておりました「クリアフィル® メガボンド®」は、海外でも製品を評価する際に比較対象としてして使われるようなボンディング材になっております。この「クリアフィル® メガボンド®」は2液タイプで最初にプライマーを浸透させて、そのあとボンド材でしっかり固めるというステップを踏みます。 対して、今回販売を始めた「クリアフィル® ユニバーサルボンド Quick ER」は1液タイプになります。これまでの1液タイプは、浸透させる、しっかり固めるというのがなかなか両立できず、2液タイプに劣ると言われてきたのですね。そこでわれわれは親水性アミド系モノマーを開発しました。この親水性アミド系モノマーは浸透性が高く、また硬化すると強度がしっかり出る。要するにこれまで二律背反だった特性を1つにまとめることが可能になったのです。山﨑 その強度試験は大学のリサーチなのですか?有川 そうです。データで出ています。たとえばアメリカですと、歯科理工学で有名な大学で評価していただいています。山﨑 そうなのですね。あとは、実際に私たちが臨床を行う中で、どの程度デンチンに浸透しているのかは分からないではないですか。そうなると、術後にどのような結果が出るのかということで私たちは判断しますよね。だからこそ、この「クリアフィル® ユニバーサルボンド Quick ER」の中長期的なデータは欲しいですよね。有川 中長期的なデータに関しても外部機関で臨床データを採っているところです。現在2年目で、随時臨床データをアップデートしていくつもりです。山﨑 術後のセンシティビティはどうなのですか?有川 基本的に接着が十分にされていれば問題ないと考えています。リン酸エッチングをされる先生は術後の疼痛を防ぐために知覚過敏抑制材を使われているようです。ですが、セルフエッチングタイプのボンディング材は知覚過敏抑制材を使用される先生はまずいらっしゃらないと思います。「クリアフィル® ユニバーサルボンド Quick ER」も同じ系統のセルフエッチングですので、問題ないと考えていただけるかと思います。 また、「クリアフィル® ユニバーサルボンド Quick ER」の大きな特長として、浸透性が高まったことによる時間短縮の面もお伝えしておきたいです。山﨑 確かに、ボンディング材を塗布してから待っている時間は、長く感じることがありますからね。それだけ浸透性が高くなったということなのですね。「クリアフィル® ユニバーサルボンド Quick ER」は塗布したら、待ち時間なしでエアブローをして、それから光重合が可能ということですか。有川 塗布してエアブローをしていただいたら、すぐに光を当ててコンポジット充填。すごく簡単です。

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