デンタルアドクロニクル 2019
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 山﨑長郎×馬場一美睡眠時無呼吸症の対応歯科に高まる期待――近年、社会問題化で対応が急務とされている睡眠時無呼吸症(OSA)ですが、医科だけでなく歯科からのアプローチに期待が高まっています。 まずは、現在の歯科業界における睡眠時無呼吸症に対する先生方それぞれのお考えと現状についてお聞かせください。山﨑:本対談のテーマでもある睡眠時無呼吸症に対する歯科の対応について、私は、昨年10月に横浜で開催された第8回日本国際歯科大会(クインテッセンス出版主催)で、今回のテーマで馬場先生と同じセッションで講演させていただきました。もちろん、私はこの領域の専門家ではありませんが、日々の臨床現場で遭遇する睡眠時無呼吸の患者さんがたくさんいることに、なんとかしなければと臨床歯科医として危機感を抱いていました。会場は馬場先生をはじめその領域の専門家の先生方が登壇することもあって満席となり、サテライト会場も一杯ということで、この領域の関心の高さにびっくりしたわけです。 私自身、長年補綴臨床家として審美歯科治療だけでなく全顎的治療も含めたさまざまな治療を行ってきました。しかし、睡眠時無呼吸症の患者さんへの対応にはたいへん苦労した経験がありましたし、今後ますます重要視されるこの問題への歯科としての対応は、避けては通ることができないといっても過言ではないでしょう。医科と歯科の連携が注目されているなか、睡眠時無呼吸症ですでに困っている患者さんは200万人といわれていて、今後発症するかもしれない潜在患者は500万人といわれていますので、私たちの歯科的な対応で救ってあげることができるかもしれない。もしも症状が改善すれば、睡眠時無呼吸領域における医科と歯科の連携はさらに進むのではないかと思っています。馬場:1996年にUCLAに留学していた時に私のボスだったDr. グレン・クラークは、当時からオーラルアプライアンス治療を行っていました。私は睡眠時無呼吸症(図1)に対して歯科的な対応ができるということとそのノウハウを学び、帰国後は睡眠時無呼吸症の治療や顎関節症などの研究なども行い、現在に至っています。 日本では居眠り運転事故などによる報道で最近とくに注目されている睡眠睡眠時無呼吸の潜在患者は500万人。歯科が救ってあげることができるかもしれない。70

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