デンタルアドクロニクル 2019
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対談 歯科における睡眠時無呼吸症の対応舌開いた気道閉塞した気道a気道の閉塞がない状態b気道が閉塞した状態時無呼吸症ですが、まずは歯科が介入できることとしてスクリーニングがあります。これは非常に大切です。現在、睡眠時無呼吸症は、Cardiovascular Disease(心血管疾患)のリスクファクターであることがわかっていますし、合併症として高血圧症、糖尿病、不整脈、動脈硬化症、心不全、脳血管障害などがあり(図2)、対応が遅れれば遅れるほど生命にかかわります。臨床にたずさわる歯科医師はいつも患者さんの口腔内を診ているわけですので、睡眠時無呼吸症のおそれがあるような患者さんにはそのリスクについて説明してあげる必要があります。 睡眠時無呼吸症の治療として、医科では標準治療であるCPAP(持続陽圧呼吸療法)があります(図3)。しかしながら、AHI(無呼吸低呼吸指数)20未満では保険適応にならず、保険適用外となります。一方、歯科のオーラルアプライアンス(OA)ではAHI5以上でアプローチできますので、当大学病院では私たち歯科に循環器内科から依頼がくることが増えています。医科の先生方もやはり困っている患者さんを救いたいわけですので、低レベルの睡眠時無呼吸に対して積極的な介入ができる歯科に期待しているわけです。 近年、歯と口の健康が全身の健康と大きく影響することがわかっていますが、睡眠時無呼吸症への歯科の対応も今後ますます大きな役割を担ってくると思います。また、先ほど申し上げたとおり、睡眠時無呼吸の治療だけでなく私たちが潜在患者を歯科でスクリーニングできるという認識を広げていくことも必要です。高血圧症糖尿病不整脈脂質異常症動脈硬化症肥満心不全廃血性心疾患脳血管障害歯 科手術アプライアンス治療小児治療小児矯正医 科CPAP71図1 正常に呼吸が行われている状態(左)と、閉塞性睡眠時無呼吸発生時の状態(右)。別冊 the Quintssence「外来・訪問診療のためのデンタル・メディカルの接点」(P17より引用)。図3 睡眠時無呼吸症の治療方法。医科ではCPAPが代表的であり、歯科ではオーラルアプライアンス治療が近年増加している。図2 睡眠時無呼吸症の合併症。

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