デンタルアドクロニクル 2019
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アライン•テクノロジー社特別対談  巻頭特集289ました。確かに、同社の矯正装置を製作する場合はiTeroエレメントで印象採得したほうが、出来上がってくるものはフィット感がいいような気がします。また、患者さんに説明するときのツールとしては非常にインパクトが強く、患者さまも喜んで「すごいですねえ」と言ってくださったりします。伊藤:スタディモデルがどんどん増えていくと保存が大変なので、スタディモデルをこれで構築しようかと考えています。スタディモデルとしてスキャンしておき、リコール時に年に一度スキャンし、それを蓄積していくと口腔内の状況や歯列の経年的な変化が観察できて大変有効だと思います。スタディモデルとしてのスキャンができるということでも、それを使って患者さんに噛み合わせの状態等の診断をし、矯正の必要性や欠損部においてはインプラントの必要性を説明することができるため大変魅力的です。瀧野:先生がおっしゃるようにメインテナンスで毎回即時に撮れたら、どんどん状況の変化を見ていくことができますし、口腔内写真兼模型というようにデータがそこで保管できればすごく有用ですね。そういった使い方もあるだろうというのは先生と同じ意見です。また矯正治療後に後戻りするかもしれません。そういったものが、デジタルならではの、重ね合わせができることで可視化を容易にするということですね。患者さまがメインテナンスにいらっしゃったら咬合調整のチェックをしますので、それがiTeroエレメントですぐに見ることができて、患者さんにも説明できるのでいいツールになります。伊藤:それをオンラインクラウドに置けるというのが非常にありがたいです。模型をストックしないで済むのが助かります。データの管理もオンラインクラウドに順次アップロードしています。インプラント関連の矯正治療への応用瀧野:矯正関連のインプラント治療はもっともっと進化していくべきだと考えています。伊藤:私が今行っているのは、インプラント治療と矯正治療のコラボレーションです。矯正が終わった状態の歯列の再現ができるため、どこにインプラントを埋入すれば良いのか診断を行います。そのシミュレーションより、矯正治療を行う前にベストポジションにインプラントを埋入しておきます。オッセオインテグレーションする間に矯正をどんどん進めていくということができます。それも今やっている最中なのです。瀧野先生はiTeroエレメントを使用した新しい試みは何かなさっていますか?瀧野:今のところ補綴モードではインプラント治療において、各メーカーのスキャンボディーを準備して、それで1歯、2歯くらいであれば、補綴物まで作れるかなというところです。その先は、それに加えて支台歯や内側性の窩洞など、補綴モードの充実というものを望みます。伊藤:私もインプラントポジションの単独歯のスキャンはまったく問題がないと思います。それが複数歯になると、寸法精度の問題で精度を厳しく要求される上部構造フレームワークなどでは少し難しい点があるようです。単独歯を補綴モードの精度の高いスキャンを行い、一歯一歯のコーピングを作って、それを口腔内に試適し、ピックアップ印象を行い、歯列模型を製作するという手法を取る以外に今はないようです。iTeroエレメントの場合は常にバージョンアップをしていきますので、さらに精度も上がっていくことを期待しています。しかし、シングルクラウンや数歯の複雑インレーなどを補綴モードでスキャンを行っていますが、とても精度が高く適合も良いので驚いています。図1 iTeroエレメントのタイム・ラプスを使うと、診察と診察の間に発生する肉眼では気づきにくい、歯や歯肉の小さな変化を動画で確認可能である。左:歯の摩耗のチェック。右:歯肉退縮のチェック。BeforeAfterBeforeAfter

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