デンタルアドクロニクル 2020
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18インプラント安全宣言!安全宣言!インプラント日本口腔インプラント学会のなりたち 公益社団法人日本口腔インプラント学会は、現在1万6千名以上の会員を有し、わが国のみならず世界的にも最大規模の歯科系学会に成長し、わが国のインプラント歯科治療を牽引しています。 欧米では、1950年代から近代歯科インプラントの臨床応用が進められ、わが国では 1972 年、海外でインプラント治療を学んだ臨床医や国内で研究を行う有志により、当学会の前身である日本デンタルインプラント研究学会と日本歯科インプラント学会が設立されました。 1986年、両学会が合併して日本口腔インプラント学会が発足し、その後法人格、さらに公益法人格を取得し現在に至っています。前身の学会発足から間もなく50周年を迎える当会は、この2020年9月18日(金)~21日(日)に50回記念学術大会ならびに学会設立50周年記念式典を開催します。テーマは、「インプラント治療―これまでの 50年、これからの 50 年―」で、先人の功績を振り返り、今後の発展に結び付けたいと考えています。インプラント治療に関する報道とその対応 2011年12月の国民生活センターによる報道発表に端を発した、バッシングともいえるインプラント治療に関するマスコミの報道は、当学会にとっても問題提起となりました。前執行部は、国民生活センターからの要望に応え国民の信頼を回復すべく、大変な努力と改革を続けてきました。 2019 年3月、再度国民生活センターからの報道発表がありましたが、当学会は適切なインプラント治療を推進する旨の声明をいち早く発表しました。声明の大きな柱は、「口腔インプラント治療指針の周知徹底」と「専門医制度の活用」です。インプラントは、厳しい薬機法をクリアした信頼できる材料 歯科医療では従来から、医薬品に加えて材料を多用してきました。医療現場で使用する材料は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下、薬機法)によって、医療機器の範疇で使用が制限されています。従来の保存・補綴治療に使用する材料は、国際的なリスク分類ではさほどリスクが高くありません。しかし歯周病、口腔外科、インプラント治療用の材料は、体内で生体反応を蒙るためリスクが大きくなります。これらの材料は、従来以上に為害性のないことが求められ、薬物同様に作用・反作用について考慮する必要があります。 このような厳しい薬機法の承認を得たインプラント製品は、その安全性が保障されています。臨床においては患者さんの生体反応がプラスとなることが前提であり、インプラント治療が患インプラントは、患者さんのQOLを向上させる、科エビデンス学的根拠に基づいた世界が認める歯科医療です。 2019年3月14日、独立行政法人国民生活センター(所管官庁:消費者庁)は、「あなたの歯科インプラントは大丈夫ですか ―なくならない歯科インプラントにかかわる相談―」と題した報道発表を行いました。 その概要には、2013年度以降の約5年間に、「インプラント治療の相談に行った次の予約日にいきなり手術され、出血が止まらず入院した」など、インプラント治療において危害を生じたという相談が409件寄せられたということ(※2018年12月31日までの登録分)、また、歯科医師会および関係学会等への要望が掲載されていました。 こうした声に対し、公益社団法人日本口腔インプラント学会は、どう考え、どう対応していくのか。宮﨑 隆理事長に聞きました。(編集部)公益社団法人日本口腔インプラント学会理事長・宮﨑 隆先生に聞く!巻頭特集2インプラント安全宣言2020

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