デンタルアドクロニクル 2020
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が つくる “ これから ”佐藤(司会)●今回は、患者さんにとって審美的かつ機能的にも満足が得られ、治療時の負担や侵襲も比較的少ない治療、とくに保存修復やクラウンブリッジ領域を中心に、最新情報や将来展望について語ってもらうという趣旨で、現場でご活躍のエキスパートの先生方にお集まりいただきました。 まず第1部として、本領域におけるトレンドの材料として“ジルコニア”(以下ZR)に着目して、その特長や使用にあたってのポイントなどをお話いただくとともに、関連して、おすすめの器材をご紹介いただければと思います。大臼歯 ジルコニアはモノリシック佐藤●はじめに大臼歯のZRについて取り上げたいと思います。最近では前装が減ってモノリシックになってきていますが、行田先生、補綴医としてどのようにお考えでしょうか?行田●当初は積層法という形をとっていたのですが、審美的なブロックが出てきたということで、臼歯に関してはモノリシックな方向に流れつつあります。強度という面でかなりのアドバンテージがあり、非常に信頼できる材料になってきていると思います。佐藤●ブリッジもモノリシックで行っていますか?行田●はい。ブリッジは応力でたわみが出たりするとかえって困るので、モノリシックのほうが精度が高いこともあり、ためらいなく使っています。須崎●私は審美性という面で、当初はモノリシックではなくZRフレームにポーセレンを積層していたのですが、装着3年後に、たわみにより応力が集中する部分のポーレセンが欠けてしまう苦い経験をしたことがあります。また、ポーセレンのほうが対合歯に対する影響が少ないと考えていたのですが、しっかり研磨すれば、実はもっとも対合歯への影響が少ないのがモノリシックのZRであり、いまはこちらを選んでいます。佐藤●私も最初はフレームだけZRで、それに前装していました。それが設計が変わってきて、咬合接触部分はZR、前装部分はポーセレンとなりました。最近では色調も良くなってきています。伴先生、材料学的な視点から、臼歯部ブリッジへの使用について、いかがでしょうか。伴●歯科におけるZRは、金属の代替え品として、名前もホワイトメタルと称して導入されました。当初は透光性も悪く、コアとしての用途しか考えられていませんでした。ただ、前装したポーセレンが弱く、強度でいうと10倍違いますから、せっかく強いZRを使っても、上に弱いポーセレンを盛り上げて修復していては利点を活かせないことがわかってきました。咬合力の強い外国人では、強く噛むと壊れることが多いわけです。日本人でもブラキシズムの患者では非常に早い段階で割れるといった問題が生じています。佐藤●なるほど。ツヤパワー の 高い「 ジルコンブライト 」がモノリシック修復を 支える伴●ZRの原料はほとんど日本製ですが、世界中から「もっと透光性の良いものはできないか」との要望が集まってきました。そこで透光性の高い、ZR焼結体用粉末が開発され、その粉が売り出されて初めてモノリシックで修復できるようになったのです。それにともない、いろいろな研究がなされるようになり、従来ZRは硬いから対合歯が摩耗すると思われていましたが、実は一番対合歯を摩耗させないこともわかりました。修復&クラウンブリッジをどうしよう?~ ジルコニアを中心に ~第1部東京歯科大学 教授(クラウンブリッジ補綴学講座)佐藤 亨【PROFILE】1979年  東京歯科大学卒業1986年  同 大学院歯学研究科修了     同 歯科補綴学第二講座助手1988年  同 歯科補綴学第二講座講師2001年  同 歯科補綴学第二講座主任教授2006年  同 クラウンブリッジ補綴学講座     主任教授(講座名称変更)【主な所属学会】日本補綴歯科学会/日本歯科審美学会日本接着歯学会/日本全身咬合学会日本歯科理工学会33

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