デンタルアドクロニクル 2020
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が つくる “ これから ”adecfb用だけで長い時間をかけるよりも、粗いものから順番に短時間でやるのが結果も良いと思います。あと、技工士さんに多い不満として、順番にやってもZRの研磨にまだまだ時間がかかるということがありますが、解決法として焼く前にZRを半焼結状態である程度研磨しておき、それで焼くと、焼き上がってからは「ジルコンブライト」による研磨だけでよくなり、非常に助かります。その前研磨器具もさんが用意されていますね。茂久田●焼く前のチョークのような状態の段階で表面研磨をしておきますと、焼いた後も同じくピカピカなので、ほとんど研磨の必要がなくなります。伴●実験室でいろいろと試料を作るときも1,000番くらいまでのサンドペーパーで研磨しておけば、焼いた後は「ジルコンブライト」だけで短時間に、しかもピカピカに仕上がります。佐藤●私の講座でも研磨摩耗の実験を行い、そのときは私自身でさんの半焼結体用の研磨キットを使用しながら、方向を決めて3回、直角方向で3回、次に45°変えて3回、直角方向で3回、それだけで非常にきれいになると感じました。大変な優れもので、これさえあれば速くてキレイでOKという感じをもっています。須崎●滑沢ということが大事で、ZRは対合歯にはとてもいいですが、順番に段階的に研磨をすることが非常に重要です。「ちょっとでも手を抜いて表面性状が凹凸になると対合歯を削るヤスリとなり、逆にとても怖いものになる」ということを伴先生に教わり、肝に銘じているところです。伴●やはり最後は、研磨用ブラシに「ジルコンブライト」のダイヤモンドペーストのような自由に動ける状態の砥粒で表面を磨いてあげないとダメですね。ペーストで磨いたものを電子顕微鏡で調べると、ZRの表面は一種の非晶質のような層ができています。このような状態であれば、対合歯にはまず影響を及ぼしません。行田●ZRは熱の影響が出ると聞いています。ファインになればなるほど研磨時の発熱が高くなると思いますが、臨床的に気をつけることはありますか?伴●熱の影響はまったく考えなくていいと思います。人間の手で触れる程度、患者さんが熱くない程度の温度であれば問題ありません。ZRは低温劣化すると当初言われましたが、たとえば134℃で5〜10時間ずっと同じ状態にすれば数パーセント変態するというレベルですので、通常の研磨の熱で劣化するということは、まず考えなくていいです。行田●たとえば火花が散るような高温下の粗研摩でも問題ないですか?伴●その後で鏡面の状態まで仕上げていかれるので問題ないと考えます。た愛知学院大学歯学部 非常勤講師(歯科理工学講座)伴 清治【PROFILE】1974年 名古屋工業大学卒業1976年 同 大学院工学研究科修了      (株)東海理化電機製作所研究開発部1982年 愛知学院大学歯学部歯科理工学教室助手1987年 同 歯学部歯科理工学教室講師2001年 鹿児島大学歯学部歯科理工学講座教授2003年 同 大学院医歯学総合研究科教授2010年 愛知学院大学歯学部歯科理工学講座非常勤講師【主な所属学会】日本歯科理工学会/日本デジタル歯科学会図2 「ショウ セレクションキット」 (茂久田商会)ほか による ZRの調整・研磨手順。 (写真提供:東京歯科大学水道橋病院歯科技工室主任技工士 平林 剛氏)a:「プレシンター・ジルコンポリッシャー」 (茂久田商会)による 焼結前の ZRの 形態修正。b:「ホリコ ダイヤモンドポイント」 (ホリコ社)による ZRの スプルー除去。c:「セラダイヤポリッシャー」 (デデコ社)による ZRの 粗研磨。d:「セラダイヤポリッシャー」による ZRの 中研磨。e:「セラダイヤポリッシャー」による ZRの 仕上げ研磨。f:「フェルトポイント#59」(ポリラピッド社)と「ジルコンブライト」による 最終艶出し仕上げ。37

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