デンタルアドクロニクル 2020
40/172

特別座談会だ火花が出るくらいまで研磨することはおすすめしません。ZRは強いといってもセラミックスなので、表面直下に小さいクラックが生じると言われています。サンドブラストでも表面からちょっと奥まで損傷すると言われていますので、これもおすすめしません。行田●ラフな調整の時に、熱に弱いというイメージがありますので、ダイヤモンドバーとかに水をかけることをしますが、それは良くないということでしょうか?伴●そんなことはないですよ。少しは温度上昇が抑制されますし、また水があると研磨効率が落ちて、若干滑らかにしてくれるので、良いと思います。行田●注水下では問題ないということですね。またファインの段階に進んだ時の温度上昇は微々たるもので、最終的な表面に影響を及ぼすことはないというイメージでよろしいでしょうか。伴●結構です。咬合調整時の 発熱を抑える「 セラダイヤ・ スーパーファースト 」須崎●私も同じ悩みがあります。さんの製品で発熱を抑えて咬合調整に使用できる、おすすめの製品はありますか?行田●ありますよ。「セラダイヤ・スーパーファースト」(デデコ社、図3)はすごく発熱感を抑えられて、よく削れるので、愛用しています。茂久田●ありがとうございます。前歯にもモノリシック ジルコニア佐藤●続いて前歯や小臼歯のZRの話に移りたいと思います。伴先生から積層タイプのものがたくさん開発されているということですが、それについて先生方いかがでしょうか。須崎●APEC(アジア太平洋経済協力会議)のkeyオピニオンリーダーをしていた関係で、アジア圏の先生方と話をしていると、前歯でモノリシックか、ポーセレンを盛るかという話になると、たとえば中国では審美性よりも、モノリシックで簡単にきれいにしたいというニーズのほうがかなり高いです。最近ではZRの透過性が増し、レイヤーリングになって色を足し増しできたりして、前歯のモノリシックもずいぶん審美性が追いついてきていると感じています(図4)。やはり潮流は臼歯のみのモノリシックから、前歯にも来ているという実感をもっています。行田●修復する環境によって左右されるところがあり、単独歯非対称の症例ですと、いまでもレイヤーリングで行うケースが多いですね。とくにZRの物性を考えますと、生体親和性がすこぶる高いため、私の場合は歯肉縁下マージンを多用しますので、積極的に使いたいという思いがあります。1本だけというとレイヤーリングという方法になりますが、左右対称の場合はモノリシックで良いと思います。支台歯への光の反射をどういうふうに解決し医療法人 ジニア ぱんだ歯科 理事長愛知県開業須崎 明【PROFILE】1996年 愛知学院大学歯学部歯学科卒業2000年 同 大学院歯学研究科修了 博士(歯学)     同 歯学部保存修復学講座助手2002年 同 歯学部保存修復学講座講師2003年 モンゴル国立健康科学大学客員准教授2005年 ぱんだ歯科開設     愛知学院大学歯学部非常勤講師2018年 医療法人 ジニア ぱんだ歯科理事長【主な所属学会】日本歯科保存学会/日本レーザー歯学会日本歯科審美学会/日本歯科理工学会日本接着歯学会/日本臨床歯周病学会/IADR図4 前歯部に モノリシックZRを用いた症例。 (製作:東海歯科医療専門学校 長谷川彰人氏)a:装着前。2は失活歯で変色している。 b:装着直後。 c:装着1年後。図3 「セラダイヤ・スーパーファースト」(デデコ社)を用いた 咬合調整。bac38

元のページ  ../index.html#40

このブックを見る