デンタルアドクロニクル 2020
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特別座談会も上がるし、審美性も良い。たとえば小臼歯のMO窩洞で近心側がよく見えるようなインレー修復には重宝しています。伴先生、ガラスセラミックスの研磨についてはいかがでしょうか。伴●ガラスは化学的に水中でよく溶ける性質があります。ガラスセラミックスを口腔内に入れた時、最初は良かったのに、4~5年経つと輝きを失ったという経験はないでしょうか。それはガラスが溶けてしまい、中に分散した結晶成分だけが浮き出てきているからです。実はそうなると対合歯も摩耗するようになるんです。須崎●だから、ときどき研磨する必要があるんですね。伴●研磨をやってあげないと、溶けやすくなっていきます。須崎●PMTCのようにドクターがメインテナンス時に研磨することで、長期的な安定につながるんですね。佐藤●ガラスが溶けると形態も変わってくるのですか?伴●ガラスの中には結晶が分散していますが、その界面が溶けます。ですので、形態的には変化がないように見えても、表面は溶けて粗くなるため、ツヤがなくなります。佐藤●間が溶け出してくるというイメージでしょうか?伴●はい。実際にこれがどんどん加速していった結果、突然に割れるようなことがあると聞いています。佐藤●破折の原因になっているということですね。だから研磨が重要と。伴●ガラスは非常に面白い性質がありまして、応力腐食といって荷重がかかるところに水があると非常によく溶けます。口腔内はまさにそういう条件なんですね。疲労試験の結果も出ていますが、ZRよりも二ケイ酸リチウムのほうが劣りますね。須崎●メインテナンス時に磨くということは、対合歯に対する悪影響もないし、破折を防止するという点でも有効ですね。伴●そのとおりです。衛生士さんが使う口腔内のPMTC用のジェルはダイヤモンドではなく、アルミナとかシリカが入っています。二ケイ酸リチウムを研磨するには適しています。須崎●口腔内にZRがあっても全部磨いて構わないのですか?伴●ZRは何も変化しません。茂久田●ラバーカップのままでいいんですね。伴●結構です。須崎●衛生士さんのメインテナンス指導はプラークコントロールという意味でPMTCを行っていますが、「ガラスセラミックスが入っているところも、しっかりと磨いておいてね」と言うだけで、ドクターが行かなくても対合歯への影響を減らせますね!伴●ガラスの強度は、空気中と水中で測った値では20%も違います。ZRは空気中、水中も強度は一緒です。このような違いがあることも知っておくと良いですね。佐藤●よくわかりました。伴●あとガラスに関連して、現場の技工士さんが、セラミックスが焼き上がった後、研磨せずにグレージングして終わりというケースもあるようです。グレージングの膜はガラスですから、それが後々響いてきて、応力腐食により口腔内ですぐに欠けてしまうといった臨床報告が上がっています。とくに咬合面のグレージングはやめるべきです。少し時間はかかりますが鏡面研磨仕上げをしないとダメですね。レジン研磨で 回転数を上げるのは 愚の骨頂佐藤●コンポジットレジン(以下CR)充填の研磨はどうですか?須崎●CRもダイヤモンドの粒子を含んだブラシと、ダイヤモンドペーストで磨いています。審美性は研磨でかなり変わってきて、最終研磨をいかにするかでCRの調和や審美性が保たれきれいに仕上がると言われています。いまはかなり重要視されてきています。行田●エナメルのほうが減るくらいですね。輝き豊かな 美しい 歯面に「 コンポ ハリケーン 」須崎●臼歯部のCR修復は形態付与、咬合調整、研磨を口腔内で行います。とくに咬合面の研磨においてシリコンポイントでは限界があるので、ダイヤモンドブラシとか、さんの「コンポ ハリケーン」(図6)/「ダイヤポリッシュ」(ホリコ社)、「コンポジットダイヤ」(デデコ社)を使用しています。「コンポ ハリケーン」は非常に輝くので、大変有用だと思っています。伴●CRの研磨も研究したのですが、CRを輝かせるのは非常に難しいですね。あまりにもフィラーとマトリックスのレジンとの硬さに違いがあるからです。各社いろいろなダイヤモンド入りポイントがありますが、とにかくメーカーの指示する回転数を守る必要があります。速く回すと速くきれいになるかというと、まったくそんなことはありません。正しい回転数、正しい株式会社 茂久田商会 代表取締役 社長日本歯科用品 輸入協会 会長茂久田 篤40

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