デンタルアドクロニクル 2020
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が つくる “ これから ”できるんです。佐藤●おっしゃるとおりで、同じ画像を動かすにしても若い人は簡単に操作しています。伴●デジタルに関連するような授業をやっていかなければならないのですが、大学が一番遅れています。技工士学校は、けっこうやるようにはなってきました。でも、まだまだ現状に教育が追いついていないという段階です。佐藤●たしかに、まだ完全には教育されていないというのが実状です。最近、技工士学校がなくなりつつあって、今後の技工作業はコンピュータを使ったデジタルデンティストリーに変わり、歯科医師自身が修復物を作るということになると思います。クラウンの形態の決定から研磨まで歯科医師の技量が要求されてくると思います。そこでカンタンに効率良い研磨が重要になってくると思います。伴●デジタルの教育と合わせて、それに対応した臨床実習も必要ですね。佐藤●歯科医師が知らなければいけないデジタルデンティストリーの領域が増えてくると思います。しかし、歯科大学の教育からお話すれば、臨床実習に上がる前に現在行われているCBT(Computer Based Testing:知識試験)やOSCE(Objective Structured Clinical Examination:技能試験)のほかに、臨床実習中はスチューデントデンティストという形態をとって、実際のチェアサイドの臨床実習を評価する試験(CSX:一斉技能試験、CPX:客観能力試験)が導入されようとしています。そうなると必然的に、限られた教育の時間のなかでは、技工部門の教育に割く時間が少なくなってくるというのが現状です。伴●全国各地で技工士学校の廃校が続き、ここ2~3年は技工士さんの数が減りましたが、2019年はほぼ横ばいになりました。いまが底かなと。新しい動きとして、大分県と石川県で新しく技工士学校が開設予定と聞いています。そこで何をやるかというとCAD/CAM中心の教育だと思います。佐藤●技工士さんがCAD/CAMで咬合をみられるようになるのは大きいですね。伴●各社ともバーチャル咬合にものすごい力を入れています。口腔内スキャナーでデジタルデータをとって、画面上でいろいろな動作を加えながら咬合させ、デザインを仕上げ、それをCAD/CAMで忠実に作る。口腔内に戻した時には、ほとんど咬合調整がいらない。これを理想にしています。佐藤●私の講座の非常勤講師もデジタルデンティストリーで行っていますが、結局パノラマ装置から、咬合器のシステムから全部そろえ、さらにCADまでそろえてとなると、維持費が非常に高い。デジタル化における費用の問題は、教育、臨床いずれにおいてもネックになっていますね。デジタル導入 は患者メリットが 大佐藤●開業の現場から、デジタル化について感じていることはありますか?行田●印象がデジタルになってくるのは、患者さんへの恩恵が非常に大きいと思います。シリコン印象ですと、嘔吐反射で患者さんもつらいですし、時間もかかってしまうわけですから、模型がなくても済むのは良いと思います。私の患者さんで生活歯の治療でZRを入れた後、地方に引っ越された方が歯髄炎になってしまい、1日なら東京に戻ってくださるというケースがありました。すでに作業用のデータがあるのでクラウンを作っておいて、その日のうちにエンドを終えて、クラウンを入れ直して差し上げました。これはやっぱりすごいなと。患者さんも良かったなと思います。お恥ずかしいのですが、そういうケースが1件ありました。佐藤●デジタルはデータとして保存できるメリットが大きいですね。須崎先生はいかがでしょうか。須崎●側方運動時にフレミタスがある場合、印象採得時の歯列と、咬合時の歯列形態が異なる場合があります。デジタルがいいなと思うのは、このような場合、スキャンデータを咬合した時の状態に自然に移行して補綴装置を作ってくれることです。私の臨床のなかでは咬合調整が非常に少なくなりました。模型の時とは違う、デジタルならではという感じを受けています。佐藤●グッと噛んだ時の画像に変換してくれるんですか?須崎●「CEREC®」(デンツプライシロナ社)は自動で変換してくれます。噛んでいない時にスキャンをしてデータを送り、噛んでいる時のデータを自動計算して、補綴装置を作ってくれます。佐藤●そうなんですね。咬合はどの歯がどう下がるか、どうローテーションするかで全然違いますよね。須崎●この場合、コンタクトの位置や強さが変わることもあるので、注意が必要です。行田●そうですよね。51

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