デンタルアドクロニクル 2020
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67CROSS TALK 「これからの歯科医療の発展を支える世代に向けて」荒井 山﨑先生のお話をお聞きして思ったのですが、レジェンドのような先生がいてその先生の意見を中心に自分のフィロソフィを固めていった時代があったと思うのです。ですが、現在の若い方たちは、山﨑先生の話を聞きつつも他の先生の話も聞く、というようにさまざまな先生方の話を同時に聞いてひとつに絞らないですし、おそらく絞ろうともしていないのだと思います。それが今風なのでしょうが、そのせいで自分の基準がなかなか定まりにくくなってしまっているということもあるのかもしれません。山﨑 ただのミーハーで複数のスタディグループに参加するのは意味がないですよね。さまざまなスタディグループに参加していても、そこから自分なりの基準を上手く築き上げることができるのであればそれで問題ないと思います。将来のニーズまで見据えて学んでいくべき―先生方は若い世代を導く立場でいらっしゃいますが、現在の若い世代の先生方に対してどのように接していらっしゃるのでしょうか?山﨑 ここはまず大学で日々学生に接している高垣先生の意見を聞いてみましょう。高垣 今の若い世代はこちらが一方的に押し付けても動かないという印象があります。昔からそうなのかもしれないですが、本人にモチベーションがないと動かないですよね。ですが、たとえば同じ実験を指示したとしても、臨床に直結するようなテーマを与えてあげると意識が変わってモチベーションが上がったりすることもあります。ですから、モチベーションを上げるために指示を出すときの言い回しを意識したりはしていますね。 あとは、個人的に複数の学生を指導して管理するような立場になってきたことで、学生との距離感が少し難しくなってきていると感じています。以前は、現場で実験を一緒に行いながら目の前で自分の手を使って教えていたのですが、指導する人数が増えてきた今の立場ですと、なかなかそれができないのです。しかも研究室にはさまざまな性格の学生や、さらに国籍の異なる学生も所属しています。最初からある程度できてしまう学生もいれば、完全に依存型の学生もいるなかで、全員に付きっきりで指導することはできません。どんなバランスとタイミングでどういった指導をしていくのか、それが難しいと感じています。 私自身は実験室に行って電子顕微鏡を覗いているときがもっとも楽しいのですけどね。山﨑 荒井先生はスタディグループで若い先生方に対してどのように接しておられますか?荒井 今の若い先生と話していて、もっとも感じるのはMIの治療に対する興味が非常に強いということです。なるべく歯質を削らないでコンポジットレジンを充填したり、エンドでも丁寧にラバーダム防湿を行ったり、ペリオでも歯周外科における保存領域の重要性を考えている若手の先生が多いです。とはいえ、開業するにあたっては補綴ができなければいけないし、もっと言えばCAD/CAMなどのデジタル

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