デンタルアドクロニクル 2020
70/172

68クラレノリタケデンタル株式会社テクノロジーも使いこなす必要があります。そうなると開業コストも以前と比較して上がっていきます。昔は3千万円でも4千万円でも開業できたのが、いまは6千万円、7千万円、8千万円とどんどん高くなっている。興味があるのはMIの治療だけれど、現実的に開業した後のことを考えると、他にも補綴治療やインプラント治療、さらには矯正治療も自分で行えるようになっていなければいけない。開業するまでに何をどんな順番で学んでいけば良いのかが、私たちの時代と比較して複雑になってしまっているのではないかなと思います。CT、CAD/CAM、マイクロスコープなどの設備投資が増えたことによって開業するためのコストも上がり、さらに開業するまでに学ぶ内容も増えていますから、若い先生方は大変だなと思いますね。山﨑 荒井先生の話を聞いて思い出したのですが、15年ぐらい前にメーカー主催のセミナーで、1950年代に白黒テレビと洗濯機と冷蔵庫が三種の神器とよばれていたことになぞらえて、CAD/CAM、CT、マイクロスコープがこれからの歯科医院の三種の神器になるという話をしたことがあるのですよね。それを全部揃えたら、先ほどおっしゃっていたとおり8千万円くらいかかってしまうのです。荒井 山﨑先生がおっしゃった三種の神器というのは、2000年代前半から現在にかけて本当に日本の歯科界に根付いた言葉だと思います。もっと言えば、現在私たちがテレビや洗濯機や冷蔵庫を三種の神器と言わないように、今の若手にとっては持っていて当たり前のものと捉えている風潮もあります。そういう時代がきたのだということですよね。山﨑 そうですね。ただ私は一方で、歯科医院のビジネスモデルが地方型と都会型で変わってきており、そこも考慮する必要があるのではないかと思っています。地方ではまだ欠損も多く、インプラント治療や補綴治療も多いのですが、都会では欠損が少ないわけです。私もメインの仕事はインレー修復やコンポジットレジン修復ですからね。補綴治療ももちろん行いますが、以前よりも確実に少なくなっています。ではその中で都会型の歯科医院のビジネスモデルは何かといえば、私は矯正治療とメインテナンスをベースにするしかないのではないかと思っています。矯正治療に関しては先天的な要素が強いため、日本人の顎と歯の大きさで考えると、今後も矯正治療が必要になる患者がある一定数は確実に存在し、需要がなくなることがないということが大きいです。メインテナンスに関しては、以前と比較してメインテナンスに賛同していただける患者さんが増えていることが大きく影響しています。 地方と都会ではやはり地域差が存在するので、自分が行いたいビジネスモデルが開業したい地域で今後ニーズがあるのかまで踏まえて学んでいく必要があるのではないかと思いますね。時代の変化に即したマテリアルの開発が望まれる―続いて、先生方はわれわれクラレノリタケデンタルにどういった技術・製品開発を望まれているのかをお聞きできればと思います。山﨑 先ほどの都会型のビジネスモデルも踏まえると、今後は間違いなくレ

元のページ  ../index.html#70

このブックを見る