デンタルアドクロニクル 2020
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69CROSS TALK 「これからの歯科医療の発展を支える世代に向けて」ジン系マテリアルの製品開発が進むと思っています。世界的に見ても、イタリアやブラジルはセラミックよりもコンポジットレジンの需要が非常に高くなっています。そこには患者の金銭的なバックグラウンドも影響しているのですが、やはり需要が高いのでブラジリアンやイタリアンのコンポジットレジン修復はかなりきれいですよね。もちろん日本人にもコンポジットレジン修復が上手な先生はたくさんいますし。荒井 ブラジルには歯科医師が30万人いるらしいので、日本の3倍なのですよね。やはりそこでトップクラスの技術をもっている先生は当然技術レベルも高くなる。高垣 インドの歯科医師も凄かったですよ。 私が卒業直後くらいにはまだ先輩方から「臼歯部の補綴治療はゴールドを使うべきだ」と教わっていた時代でした。その後は臼歯部にもセラミックを使用することがスタンダードな時代になっていったのですが、やはりゴールドにしかない良さがあると考えています。セラミックにも足りないところがありますし、CAD/CAM用ハイブリッドレジンにも不満がある。やはりインレーにもクラウンにも、ゴールドほど適したマテリアルは未だ開発されていないというイメージがあります。山﨑 そういった話であれば、逆に高垣先生にお聞きしたいことがあります。現在のCAD/CAM用ハイブリッドレジンにおける問題点は2つあると思うのです。1つは摩耗の問題、もう1つは曲げ強度の問題です。特に曲げ強度に関しては、ハイブリッドレジンで本当に300MPa以上の曲げ強度を実現することは可能なのですか?高垣 現状ではぎりぎりですが、そこはメーカーの技術開発で乗り越えてくるとは思います。山﨑 安定して300MPa以上の曲げ強度が確保できるなら、用途はかなり広がりますよね。リーズナブルに製作できるということは大きなメリットです。レジンにはセラミックとはまた違う美しさがありますからね。特にクラレノリタケデンタルは高い接着技術をもっているわけですから、そこを組み合わせることによってCAD/CAM用ハイブリッドレジンは今後さらに適用範囲が広がっていくのではないかと考えています。 またその一方で時代が変わってきていると感じるのは、セラミックにおけるレイヤリングクラウンで臨床を行う機会が減ってきていることです。マルチレイヤードジルコニアディスクを用いたモノリシックジルコニアクラウンにステインを行うだけでも十分に審美的ですから。私自身、クラレノリタケデンタルのノリタケカタナジルコニアのマルチレイヤードジルコニアディスクは販売当初からずっと愛用していますからね。素晴らしいマテリアルだと思っています。荒井 マルチレイヤードジルコニアディスクを初めて見たときは衝撃でしたよね。もう、これだけで良いのではないかという考えが頭をよぎりました。山﨑 私も同様です。審美性よりもチッピングのリスクを極力避けたい臼歯部においては言うに及ばず、4前歯や6前歯など中切歯を跨る対称的な組み合わせであれば、前歯部でも審美的な問題を感じません。そういう時代になってきているというこ

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