デンタルアドクロニクル 2020
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70クラレノリタケデンタル株式会社とですし、だからこそやはりデジタルデンティストリーの時代に即したマテリアルの開発をメーカーには期待したいですね。高垣 あとは、どんなにデジタルデンティストリーが進化しようと、最後は接着をしなければいけないということは変わらないということも強調したいです。逆にデジタルデンティストリーによって新しいマテリアルが増えすぎたことで接着に関しては以前よりも複雑になってしまっている状況だとも言えます。ジルコニアの接着に関しても現状では追及段階のところですし。山﨑 先ほど話題に挙がったMIの治療を行ううえでもやはり接着は重要なポイントになりますからね。先ほどお話ししたようにクラレノリタケデンタルの接着技術は高いと思っていますが、だからこそジルコニアなどデジタルデンティストリーのマテリアルに対して、現状の製品よりもより効果的な接着用マテリアルの開発にも期待したいですね。World Young Dental Innovators' Meeting 2020でのディスカッションに向けて―10月17(土)、18日(日)にパシフィコ横浜ノースで開催されるWorld Young Dental Innovators' Meeting 2020のクラレノリタケデンタルのコーポレートフォーラムにおいて、今回と同様に「これからの歯科医療の発展を支える世代に向けて」というテーマで先生方にディスカッションを行っていただく予定になっております。最後に、そのディスカッションに向けた意気込みなどをお聞かせいただければと思います。高垣 やはりこれからの時代の補綴・修復マテリアルというのは、山﨑先生がおっしゃっていたようにデジタルデンティストリーの時代に即したもの、つまりCAD/CAMで加工できることが前提になると思います。そして今後は歯科医院の中で完結するようなシステムもより進化していくのではないでしょうか。そういった時代の中で当然ジルコニアは欠かせないマテリアルであると言えますし、それに加えてジルコニアのような専用ファーネスによるシンタリングの必要がないCAD/CAM用ハイブリッドレジンも今後絶対に進歩していくマテリアルだと思います。当日は、このような観点でもディスカッションしていければ、面白いお話ができるのではないかと思っています。 また、どれだけデジタルデンティストリーが進化しても接着はなくならないわけですから、その辺りのお話しもできればと考えています。荒井 私は現在、三重県のラボに技工を依頼しています。ですが、このラボとは宅配便でのやり取りではなく、データでのやり取りを行っています。今は歯科医院でスキャンして、三重のラボにそのデータを送って、1時間後にはCADソフトでデザインされたデータが送られてきます。今まで宅配便で印象や模型をラボに送って、実際にワックスアップを行って形態や咬合を作ってという工程が、スキャンデータの送付とCADソフトでのデザインに置き換わることによって、より時間のロスなく全国のラボと仕事が行えるようになりました。そうなってくると、わざわざ都心で家賃が高い地域にラボを構える必要はなく、よりQOLが高い場所にラボを構えてデザインのみ、もしくはミリング後に最後まで仕上げたうえで片道だけ宅配便で送れば良いという働き方もでてきます。そこで鍵になるのはやはりデジタルデンティストリーで、今後デジタルデンティストリーは歯科界にとって逆らえない1つの大きな流れになっていくと思います。ただ、最初の話に戻りますが、デジタルデンティストリーでは特にさまざまな情報が氾濫していますので、その中でどんな情報を取捨選択するのかというのが大変重要になります。10月のディスカッションまでにはまだ時間があるので、それまでに私自身も情報のアップデートを行ったうえでお話をできればと考えています。山﨑 今後はCAD/CAMの時代がくることは間違いないですよね。実際のところ、補綴・修復の分野では、80年代の時点でほとんどのセオリーは確立されてしまっていて、90年代からはマテリアル関連の話ばかりになってしまっているという印象です。そういった背景を鑑みても、補綴・修復の

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