デンタルアドクロニクル 2020
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93 2018年にパシフィコ横浜で開催された日本国際歯科大会で、米国のラスベガスで開業しているDavid Tawei Ting先生という知己を得ました。彼は米国で18件の歯科医院を経営し、スタッフ220名を率いるCEOでもあります。 その時に彼は「歯科以外で社会の役に立っているのか?」と私に尋ねました。社会貢献をしているか? という意味の質問でしょう。「どのような形であっても歯科以外で社会の役に立つことが、歯科医療自体を増進させることができる」と彼は強い調子で語りました。David先生は、ラスベガスで多くの患者にボランティアで義歯を作っているそうです。 後日、偶然にも知人が子供食堂でボランティアをしていたので詳しい話を聞くと、近隣でも食事を十分に摂れない環境の子供たちがいることを知りました。地元の方々が食堂に食材を持ち寄り子供たちの食育を守っていることに対して本当に頭が下がる思いで、私も少しでも役に立とうと寄付を行うことにしました。 そのような転機を与えてくれたDavid先生が、2019年10月に遠くラスベガスから京都にある私の医院まで、ザイゴマインプラント埋入手術のアシストをするために来てくれることになりました。私はザイゴマインプラントについて、ロサンゼルスの口腔外科医であるDennis G. Smiler先生、Dan Rosen先生、ブラジルのAlexander D. Salvoni先生らから指導を受けていましたが、経験豊富な彼のアドバイスにより、さらに多くの知識を得ることができました。 2019年は、技術・能力の練磨も「ここまで」と線引きをすることなく自分の臨床が終わるまで行い、社会の役に立つ間はやりきろう、と覚悟した年でもありました。“Ain’t no mountain high enough(上には上がいる)”とDavid先生も言っていました。2020年は現状に満足せず、社会の役に立てる間は技術・能力を磨き上げ、JAIDの仲間とともに歯科医療に邁進していきたいと思います。JAIDの国内活動―David Tawei Ting先生の来日―五十嵐 一(JAID顧問、京都府開業:五十嵐歯科医院)David Tawei Ting先生が京都にある筆者のオフィスにまで、手術アシストのために来てくれた。著書『Zero Bone Loss Concepts(Quintessence、日本語未翻訳)』で有名なTomas Linkevicius先生も東京で行われる講演会の準備で忙しい合間を縫って見学に。David先生は、筆者の行う埋入手術のすぐそばで的確なアドバイスを送ってくれた。

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