デンタルアドクロニクル 2020
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95 2019年6月7~12日、ブラジル・サンパウロで開催された6日間のザイゴマインプラントコースを、JAIDメンバー6名で受講してきました。 講師はザイゴマインプラントのエキスパートのDennis G. Smiler先生、Alexan-der D. Salvoni先生、Dan Rosen先生で、通訳はいませんでしたが、わかりやすい英語でレクチャーしていただきました。 インプラントのメーカーはおもにノリス社の製品を用いて行いました。ノーベルバイオケア社のザイゴマインプラントとの大きな違いは、前者はタイユナイトのラフサーフェスに対して、後者はインプラント体の表面が、頬骨に入るスクリュー部分だけラフサーフェスで、あとは鏡面研磨されています。 筆者は、ザイゴマインプラントは即時荷重が基本であると考えていましたが、今回のセミナーでは待時荷重が基本とされていました。その方法だと骨に固定を得る部分は、頬骨部分のみでも咬合力に耐えられるということでした。また、埋入も上顎洞内にはほとんど入れずに、上顎骨に沿わせるか、少しだけ骨内に入れる感じです。そして、鏡面研磨のため骨補填材などは使用しません。従来とは違うプロトコールでしたが、Alexander先生はこの方法だと上顎洞に問題が起こりにくいと説明していました。 講義形式、獣肉を使った縫合実習、模型実習、そして実際の患者へ埋入手術といった実習プログラムが、講師のブラジル人の先生方の厳しい検閲と介助のもとで行われました。日数も長く、患者へのザイゴマインプラント埋入本数は1人あたり4~6本、上顎結節へのプテリゴイドインプラント2~4本、通常のインプラント2~4本と多数でした。麻酔科医が鎮静して行う場合もあれば、局所麻酔だけで手術するケースもありました。一回の手術時間は3~4時間で、それが1日2回行われるので体力的にもハードでしたが、得られた知識と経験は非常に大きいセミナーでした。 Alexander先生のご自宅にも招待していただき、サンパウロで成功した歯科医師のプライベートも知ることができました。このセミナーは他では考えられないくらい良い経験になりました。JAIDの海外活動―ブラジル・ザイゴマインプラントコース―中島航輝(JAID理事、東京都開業:世田谷デンタルオフィス)(a)メインで指導していただいた現地のAlexander先生。(b)ザイゴマインプラント埋入もステップごとに、インストラクターが確認して指導してくれた。(c)今回の受講者とインストラクター。筆者は前列目左端。(d)サンパウロで大成功しているAlexander先生のご自宅。豪快な性格ですが、手術の技術は卓越していました。acbd

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