デンタルアドクロニクル 2021
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100日本アライナー矯正歯科研究会(JAAO)特集2021DSDコンセプト“ブランド戦略、コミュニケーション戦略でビジネスを拡大” DSDをなぜ学ぶのでしょうか。DSDの核となるコンセプトは、歯科医師の臨床家としての側面以前に、ブランディング戦略にあります。私は自身の職業を聞かれたら「スマイルデザイナーです」と答えていますが、これこそがブランディング化なのです。自身のクリニックをスマイルデンティストリーとして患者にブランディングできれば、それは他院との差別化になります。 ただし、ブランドを作るためには、そして患者にその価値を認めてもらうためには、コミュニケーション戦略が不可欠です。しかし歯科医師であり、コミュニケーションの方法を専門的に学んでいない者として、どのようにその壁を乗り越えていくか。一般的な先生は、臨床的な質を差別化の手法としますが、現代では他のスキルも不可欠です。そしてそのカギこそがデジタルなのです。 コミュニケーション戦略のマスターになるためには、患者に直感的に治療のすばらしさを伝えることが必要であり、DSDチームではそれを「WOW効果」と呼んでいます。患者に治療計画をプレゼンテーションするときに、患者が「WOW」と感動してくれれば、それが質の高いブランディングコミュニケーションなのです。 このDSDのコンセプトを理解するためには、臨床家としてだけではなく、経営者としての考え方が重要になります。これまで面識のなかった人が、われわれと治療という旅路をともに歩んでもらい、最終的にはわれわれのプロモーターになってもらう。DSDのゴールには、ビジネスを拡大するための手法が患者の幸せとセットになっているのです。DSDはなぜ存在するのか~私の旅路~ DSDがなぜ存在するのかを語るためには、私の旅路を説明することが一番適切だと思います。私はサンパウロ大学歯学部を卒業した時点で、歯科医師と歯科技工士になるという選択肢がありました。歯科医師の資格もありながら歯科技工士になると決断したのは、他の歯科医Dr. Christian CoachmanDr. Christian Coachmanはサンパウロ大学にて1995年に歯科技工学、2002年に歯学の課程をそれぞれ卒業。ブラジル審美歯科学会、審美歯科協会のメンバーである。現在はブラジルで歯科医院を開院、またスペインのマドリードにDSD Planning Centerを開設しており、DSDについての執筆や講演を世界中で行っている。 2020年10月15日(木)から17日(土)の3日間、コンラッド東京においてDigital Smile Design (DSD)によるセミナー「DSD TOKYO 3 days」が開催された。DSDとは、デジタルデータを駆使した臨床コンセプトを全世界的に展開しているチームである。デジタルデータによって患者の治療終了時の予測をプランニングし、美しいスマイルデザインを実現する。 今回、同セミナーでオンライン講演されたDSDの創設者であるChristian CoachmanによるDSDのコンセプトと当日の様子をレポートする。Digital Smile Designのセミナーが東京で開催Dr. CoachmanDSDコンセプトを語る

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