オールデンタルで迎え撃つwithコロナ時代 巻頭特集115状況が悪化し歯周病が重症化したとの報告も多く、またセルフケア、口腔ケアが十分にコントロールできないことから、より新型コロナウイルスの感染リスクが高まることが懸念される。③“水際作戦”の結果（表1、図５） COVID-19が確認されて間もない３月は、問1～4の項目で最大値（233名）を示し、その後減少傾向となった。COVID-19専門家会議からの「新しい生活様式」の提言がなされていなかったこと、冬の寒さが続いていた時期であること、連日の報道で患者が過敏に反応していたことが窺える。また、何らかの症状を訴えた患者は、同時期の総外来患者数（7,240名）中3.2％と非常に少なかった。問6、7については、３月は最高値（794名、11.0％）を示した。しかし緊急事態宣言発令を機に急激に減少し現在は０である。問10は、8、9月に30名、36名と突出している。これは熊本でクラスターが発生し、周囲の人たちが濃厚接触者としてPCR検査を義務付けられたためである。 熱などで診療できなかったり、別の場所で応急処置をした患者総数は298名で３、４月に多かった（51名、72名）。その後減少傾向を示したが、これは熱やだるさがあった場合に電話で申し出て歯科医師の指示を仰ぐ患者が多くなったためと考えられる。 また、当院のスタッフで自宅やホテルで待機させた事例が6例あった。分院でインプラント手術を受けた患者が１週間後に陽性の報告を受けた事例もあったが、幸い消毒・滅菌、手術環境が整っていたため術者と助手に濃厚接触者の指定はなく、抗原検査で陰性の報告を得た。 このように、いつ、どこで、誰でも感染の危険に晒されている。当院ではスタッフ全員で“水際作戦”を徹底したことで、新型コロナウイルスの院内への侵入を防げたものと考えている。３．COVID-19対策による変化 これまでも感染予防策を徹底していたが、さらに病院環境が整備・強化され、スタッフも感染症に対する必要な知識を持ったうえで診療に当たり、行動するようになった。 患者については当初は理解が得られていたとは言い難く、診察までにかかる時間の増加に不平・不満を言う者も多くみられたが、感染拡大後は当院の対策が「自分たちのために行ってくれている」という感謝に変わり、受診態度も協力的になった。 患者の減少で定時での診療終了が習慣化し、残業時間が減り、働き方改革が進行したのは望外の成果であった。まとめ コロナ禍でも歯科治療は“必要・適時・適切”に行うべきである。患者側も新しい生活様式の実践を自覚し始め、日頃からの歯科通院や定期健診により口腔の健康を保つ重要性をより理解してきたのではないだろうか。参考文献１．厚生労働省．新型コロナウイルス感染症（COVID-19）診療の手引き 第3版．2020．２．日本歯科医師会．新たな感染症を踏まえた歯科診療の指針 第１版．2020．３．日刊歯科通信 2020；5954．４．丸尾勝一郎．withコロナ時代の歯科医療．the Quintessence 2020；39（8）：7-9．図1 来院者には玄関ロビーにて問診表を記入してもらう。図３ 外来受付のビニールシートによる飛沫対策。図２ 同様に検温してもらう。図４ 夜間救急でも入口のインターホンでの問診と検温を行う。表１ 当院で活用している問診表の質問項目と2020年２～11月の結果症状と3密2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月計問1「咳」が出ていますか411182023121120202224311問2ひどく体がだるいことがありますか162466697911498問3「熱」がありますか249130201425279138261問4匂いや味の異変はありませんか－ー4443434127問5家族や周囲に上記1～4の症状はありますかーー8831473741問62週間以内＊３に県外への旅行・出張はありますか5068514055661121731181221141,635問72週間以内＊４に海外への渡航歴はありますか31109182110000162問82週間以内＊４に不特定多数の人が集まる場所に行きましたかー914327465083696041510問9家族や周囲に上記6～8に当てはまる人がいますかーー2019111928173024168問102週間以内＊５にPCR検査を受けたことがありますかーーー26930366796総外来患者数1,3867,2406,1466,3537,0917,0866,4106,7177,4516,58355,880上記の問1～問10に引っかかった患者数1621,1182891661692403762882712303,309熱などで診療できなかったり、別の場所で診療した患者数8517222123249272515298＊３：３月より「２月以降」、５月より「１ヵ月以内」、８月より「２週間以内」に変更。＊４：３月より「今年になって」、５月より「１ヵ月以内」、８月より「２週間以内」に変更。＊５：５月より「今まで」、10月より「２週間以内」に変更。体温計↓インターホン→図５ 2019年と2020年の患者動向の比較。キャンセル（19年）外来（19年）訪問（19年）キャンセル（20年）外来（20年）訪問（20年）90080070060050040030020010001月5月3月7月9月2月6月4月8月10月10,0009,0008,0007,0006,0005,0004,0003,0002,0001,0000
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