デンタルアドクロニクル 2021
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33Dentsply Sirona X 山﨑長郎Dentsply Sirona X 山﨑長郎  巻頭特集2-1行い、交流が活発になってきたのはこの時期ではないかと思っています。「CAD/CAM=補綴物製作」を変えた「Primescan」北本:そして2019年に当社が満を持して発売した口腔内スキャナー「Primescan」は、日本だけでなく全世界で大きなインパクトを与えたと思っています。山﨑:それこそ、北本社長が先ほど言われた「ゲームチェンジャー」ですよ。Primescanの登場によってこれまでの口腔内スキャナー(Intraoral Scan-ner:IOS)の常識を覆したといっても過言ではありません。もちろん他メーカーはCERECの背中を見ながら研究開発を行ってきたと思います。私は実際にCERECのR&Dセンターに見学に行かせていただいたことがありますが、現地スタッフの数を見て研究開発に対する取り組み姿勢からも、R&Dに多額の投資をしていることがうかがえましたね。 Primescanのような光学印象採得ができれば、従来の練成印象材にこだわる必要もなくなることは明らかです。「CAD/CAM=補綴物製作」という概念はもうひと昔前のことで、補綴はもちろん、インプラント補綴、矯正、顎運動、睡眠時無呼吸症など、その活用方法は多種多様です。これからも歯科医療従事者の想像を超える分野において、デジタル化の恩恵がたやすく受けられるようになればと期待しています。 そしてPrimescanの性能や市場の動向をみても、今後のニーズが増えることは想像に難くありません。また、日本の国民皆保険制度では近年のCAD/CAM冠の保険収載によってメタルフリーの動きが急速に進んでいますし、この動きは患者さんにとっても喜ばしいことです。ただし、大臼歯部のCAD/CAM冠に関しては咬合力と耐久性の問題もありますので、まだ時間を要するかもしれませんが、そう遠くはないでしょうね。歯科医療機器や材料の進化でこれまで自由診療の対象となっていた補綴物が保険収載されることによって、歯科治療の均一化が図れるようになるわけです。私たち歯科医師はこれまで以上に技術の研鑽に励む必要があると思います。北本:当社として、新たな技術革新やソリューションの開発は、山﨑先生のような世界屈指の歯科医師とともに発展してきました。デジタルの進歩は目覚ましくより加速し続けるので、次世代にバトンを受け継ぐことができるよう、当社は今後も山﨑先生をはじめとする多くの先生方の助言とサポートをいただきながら発展し続け、ゲームチェンジャーであり続けることをお約束いたします。 最後に、クインテッセンス出版の創業者であり、歯科専門出版社として歯科界の潮流を長年見続けてこられた佐々木会長は、CAD/CAMシステムの隆盛をどのように感じてますでしょうか。佐々木:先ほど山﨑先生がおっしゃられたように従来の補綴治療とCAD/CAMシステムを比較すると、技術的なイノベーションが起きているわけです。歯科医療従事者の先生方はそれを認識する必要があると思います。イノベーションはいったい誰のためにあるのか、それは臨床家のためでなく歯科医療を安心・安全に受けることができる患者さんのためです。 弊社の『International journal of computerized dentistry』を見ていますと、CERECをはじめとするCAD/CAMシステム一辺倒の内容から、3DプリンターやCTや新たなマテリアルを含めた内容に大きく変化してきています。技術の進歩と臨床家のニーズの合致を肌で感じています。私たち出版社はもとより企業はイノベーションを継続的に創出することが求められますので、CERECの今後のさらなる発展に注視していきたいと思いますし、期待しています。――本日はありがとうございました。

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