デンタルアドクロニクル 2021
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40クラレノリタケデンタル株式会社品ではないかと思います。咬合面ではペーストタイプのほうが有利でしょうが、支持咬頭が残っているような症例ではフロアブルタイプでも十分だと思っています。山﨑 クラレノリタケデンタルに対する強い信頼感が伝わってきますね。また、色調についてはいかがでしょうか。岡口 クラレノリタケデンタルのCRの開発の際に意見をさせていただく機会があったのですが、私からはとくに「日本人向けに、レッドシフトさせたほうが良い」と述べさせていただき、その結果非常に日本人の歯に合う色になってきました。山﨑 たしかに、日本人の歯に対してほのかな明るさを与えるレッドシフトは重要ですね。また、今後のクラレノリタケデンタル社の製品に望むことはありますか?岡口 CRの世界では今、なるべくシェードの種類を少なくするというのが潮流になっています。たとえば、シェードガイドの16色を5色で表現するといったことですが、Journal of Esthetic and Restorative Dentistryの2020年9号のde Abreu JLBらの論文では、シングルシェードよりもマルチシェードのCRのほうが高い色調の適合が得られたとされています。しかし、臨床的には在庫が少なくすむほうがありがたいわけで、クラレノリタケデンタルの技術で解決できるのであればぜひ製品にしてほしいと思っています。なぜ、クラレノリタケデンタルの接着材料を選ぶのか山﨑 ありがとうございます。それではCRの話題に引き続き、大河先生からはクラレノリタケデンタルのボンディング材やセメントについて、お使いになっての感想や今後の希望などについてお伺いしたいと思います。大河 まずはボンディング材のほうからお話しさせてください。クラレノリタケのボンディング材にも数種類ありますが、世界的なゴールドスタンダードといわれる、プライマーとボンドが分けられている2液性のボンディングシステムが筆頭に挙げられるでしょう。また、最近の潮流としまして1液性のシステムが伸びてきていますが、こちらは1液性でありながら2液性のシステムに匹敵する強度や安定性が得られるということで、私も注目しています。間接法による修復では被膜が薄いほうが有利になるため、ラミネートベニアやセラミックインレーのセット時などには40μmほどの被膜となる2液性のシステムではなく、5~10μm程度の被膜となる1液性のシステムを最近では多用しています。 また、セメントではオートミックスでデュアルキュアのセルフアドヒーシブセメントを使用しています。このセメントの厚みが16μm程度、そして1液性のボンディングシステムの被膜が1~2μm程度ということで、直接法の場合にも間接法の場合にも精度の高い充填・接着処置が行えます。間接法の補綴・修復装置製作時に追求した精度をそのままに、浮き上がりなく装着できるシステムとして、非常に気に入って使用しています。 現在、ジルコニアやガラスセラミックス、そして最近前歯部への保険適用が認められて話題となっているCRブロックなど、歯科臨床の現場では多くの材料があり、適材適所で使いこなしていく必要性が出てきています。そのことでさまざまな症例に対応していくことができると思っていますので、すべてがジルコニアである必要もないですし、ガラスセラミックスやCRをはじめとする高分子材料の需要もあると思います。その中で、私はガラスセラミックスによるラミネートベニアを多く手掛けているのですが、その接着に使用できる光重合型のセメントがクラレノリタケデンタルから発売されればうれしいですね。ラミネートベニアの場合には作業時間のコントロールが行いやすい光重合型のセメントが求められますので、そこにクラレノリタケデンタルの信頼できる材料が登場すれば使ってみたいと思います。歯科用ミリングマシンも含めて確立された、クラレノリタケデンタルの製品構成山﨑 よくわかりました。クラレノリタケデンタル製品の大きな柱であるCRと接着用材料について、その選択の理由と今後の展望についておまとめ

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