デンタルアドクロニクル 2021
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43CROSS TALK Part 2摘を実際に使用されている先生方にいただくことが、われわれの新製品開発の糸口になると考えています。山﨑 昔からクラレノリタケデンタルには、クオリティの高い製品を販売するだろう、または革新的な製品を販売するだろうというある種の信頼感をもっています。そのイメージは今後も絶対に崩していただきたくないですね。山口 ありがとうございます。私も含めて社員たちも、自分や家族の治療に自社製品を使いたいという気持ちをもっていることがわれわれの強みであり、これからも大切にしていかなければいけないところだと考えています。デジタルデンティストリーの完成形となるようなシステムを作ってほしい山﨑 これからのクラレノリタケデンタルに期待したい分野はやはりデジタル関連の機器やマテリアルの充実になると思います。さきほど昨年からキヤノン電子製のミリングマシンであるMD-500を販売されているとおっしゃっていましたが、私も最近はミリングマシンに興味をもつようになってきました。ミリングマシンを導入してインハウスですべてを製作するほうが良いのか、あるいはミリングに関してはアウトソーシングしたほうが良いのかと考えていますが、院内ラボで働く歯科技工士さんはすべてをインハウス製作できることを希望すると思うのですよね。この傾向は原宿デンタルオフィスだけの話ではなく、今後は保険・自費治療にかかわらず、インハウスで使用するマテリアルが伸びていくのではないかと思っています。その点、クラレノリタケデンタルはすでにインハウスで製作可能なシステムをもっているので、そこをより充実していただきたいという希望がありますね。山口 山﨑先生がおっしゃられているとおりだと思います。昨年から続く新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響は今後も続いていくと思うのですが、とくに米国では新型コロナウイルス感染症の影響でインハウスの需要が大きく伸びているようです。実際、メーカーとしては嬉しいことではあるのですが、インハウスに関連するわれわれの製品も大きな伸びを示しました。そういった背景も後押しして、今後、インハウスにシフトしていく流れになっていくのではないかと思っています。山﨑 ただ、日本のメーカーのシステムはそれぞれの工程に対するアプローチは素晴らしいのですが、治療の流れとしてはつながっていないことが大きな問題だと考えています。さきほどのプロモーションの話とも関連しますが、この製品の品質が高いから買ってくださいという話ではなく、これらのシステムを複合的に組み合わせることでデジタルデンティストリーの完成形になる、というような一連の流れを作っていただければと思いますね。 また、デジタル関連とならび、もうひとつクラレノリタケデンタルに期待したいのが接着関連の製品ですよね。これはよくお話しさせていただいている内容ではあるのですが、国内外問わず、多くの歯科用接着材料を評価する文献において比較対象になっているのがクラレノリタケデンタルの製品なのです。クラレノリタケデンタルの製品を基準にして、どれだけのクオリティなのかを評価する。そういった基準が日本のメーカーが開発した製品であるということは、同じ日本人として嬉しく思います。さきほど新製品開発に対する考えもお聞きしましたが、今後もさらにクオリティの高い、なおかつリーズナブルで汎用性の高い製品を作っていただきたいなと思います。山口 ありがとうございます。本当に求められる製品作りを山﨑 ここまでお話をお聞きしてきましたが、最後に今後のクラレノリタケデンタルについて、山口社長の言葉でまとめていただきましょう。山口 まず、これまで培ってきた技術を大切にして、先生方に快適に使っていただける製品をいかに開発していくのか。これがクラレノリタケデンタルの根幹であることは変わりません。 ですが一方で、そうして開発した製品について、われわれがお伝えしたいことが伝わっていないということは大きな反省点になっています。今以上にそれぞれの製品について先生方に知っていただくことができれば、今度は先生方から本当はもっとここを改善してほしいというフィードバックを得ることができると思うのです。それがわれわれにとっての新しい気づきになります。今度はそれを新たな材料の開発に反映させていく。先生方が本当に求めていることを中心におき、そこを外さないような製品作りに力を入れていきたいと考えています。山﨑 もう1つお聞きしましょう。グローバル企業として、今後、海外での戦略や新しい取り組みは考えているのですか?山口 現在と同様に、日・欧・米が中心になるのは変わらないと考えています。そのなかで、世界的な新型コロナウイルス感染症の影響もあり、CAD/CAMをはじめとしたデジタルデンティストリーはより大きく発展していくと思います。歯科医療全体がデジタルにシフトしていくなかで、弊社としても大きな気づきが得られると考えており、その変化にも柔軟に対応していきたいと考えています。 本日はありがとうございました。

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