デンタルアドクロニクル 2021
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サラヤ社の創業原点キーワードは「予防」――本日は、感染症予防のパイオニア企業であるサラヤ株式会社(以下、サラヤ社)の更家社長と、予防歯科の分野でご活躍されております天野先生にお集まりいただき、両者に共通するキーワードの「予防」をテーマとしてお話をうかがいたいと思います。まずは、更家社長よりサラヤ社の歴史についてご説明いただけますでしょうか。更家:当社は1952年の創業です。当時は赤痢がすごく流行っていまして、その状況を何とかできないだろうかと考えるなか、「病気の予防には、手洗いが重要」という結論に至りました。そこで、手洗いをすると同時に、殺菌・消毒ができる薬用石けん液(図1)と、多人数が毎回清潔な状態で石けん液を使えるように、押し出し・押し上げ式の専用容器(図2)を私の父が開発しました。 厚生労働省の統計によれば、当時11万人が赤痢に罹っていました。現在、まさに全世界で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症とよく似た状況になっていました。その状況を手洗いで予防しようというわけです。それが創業の原点となり、「予防」を事業のキーワードとして、いろいろな事業を予防的に考える企業として取り組んでいます。 そのあと、大気汚染による健康被害が問題となった時も、これもユニークな仕事といえるうがい薬と自動うがい器(図3)を開発しました。うがいをすることで有害物質を体の中に入れないで済むということから、公害対策として工場や学校などで使っていただき、現在でもさまざまな場所で役立てていただいています。 1960年代には、川や湖などの環境汚染が問題となりました。これは家庭で使われる洗剤の洗浄成分が、環境にさらや・ゆうすけ1951 年生まれ。1974 年、大阪大学工学部卒業。1975 年、米国・カリフォルニア大学バークレー校工学部衛生工学科修士課程修了。翌年、サラヤ株式会社に入社。取締役工場長、常務、専務などを経て1998 年より現職。図3 コロロ自動うがい器(初代デザイン)と現在のうがい薬(右)。図4 ヤシノミ洗剤(左:初代デザイン、右:現デザイン)。19611971図1 手洗いと同時に殺菌・消毒ができる日本初の公定書外医薬品「パールパーム石けん液」。19521952図2 手洗い場にずらりと設置された石けん液容器。Quint Dental AD Chronicle 202150

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